2022年は国産ミニバン激戦の年になりそうな予感。というのも、トヨタはすでに1月にノアとヴォクシーの発売を予定しているし、後半には日産もセレナがモデルチェンジが控えているという噂。そしてHondaからは、ミニバンのはしりといえる1台「ステップワゴン」が登場します! 一足早く新型ステップワゴンを見ることができましたが、いまだ開発途中とのことなので、コンセプトを中心にご紹介したいと思います。
6代目ステップワゴンのコンセプトは
ミニバンで育った子育て世代に向けて
初代ステップワゴンが登場したのは1996年のこと。当時ミニバンといえばキャブオーバータイプのFRレイアウトが主流だった中、FFレイアウトによるボンネットタイプのミニバンとして登場しました。そのパッケージングの良さから、月間販売台数1万台を記録する大ヒットモデルとなりました。その後、4度のモデルチェンジを実施。独自のバックドア「わくわくゲート」を採用する5代目は2015年にデビューしました。
6代目となるステップワゴンは「ミニバンネイティブ」世代に着目したとのこと。ミニバンネイティブ世代とは、その名ととおり子供の頃にミニバンで育ってきた30歳~45歳の人たちのこと。そんなミニバンネイティブは、いつしか子育て世代となりミニバンに目を向けるように。つまり「家族が増えたので、昔、家にあったミニバンが必要になってきた」というわけです。
そんな「ミニバンネイティブ世代」に向けた新しいステップワゴン。そのテーマ(グランドコンセプト)は「#素敵な暮らし」とのこと。ハッシュタグをつけるあたりが、実にイマドキだったりしますが、それよりもクルマそのものを主語とせず、暮らしという言葉をチョイスしたのがポイント。開発者によると「いかなるシチュエーションにも合う、家族に合わせたクルマを提案する」というのが、今回のステップワゴンのテーマなのだそうです。
それを実現するのが「安心×自由」という2つの価値とのこと。ズバリ、クルマに先進の運転支援機能、さらにHonda史上最大の空間を目指したといいます。とはいえ、これは他社のどんなクルマでも耳にする言葉。これ自体に目新しさは正直ありません。ですが、次のスライドが実に興味深く、そして「#素敵なくらし」への導きがありました。
イマドキのミニバンは、大きなフロントグリルにキラキラ加飾のドヤ顔が多いように感じませんか? 自車の後ろにこれらのクルマが来ると、威圧感がハンパなかったり。Hondaもユーザーアンケートを取ったところ、このドヤ顔ミニバンを求める声は多い様子。その一方で「シンプルなミニバンがイイ」という声も3割ほど。
Hondaはそこに「新しい価値を求めるきざしも存在する」と注目。ここに「#素敵な暮らし」を実現するべくシンプルな車種と、プレミアムな車種という2つの世界観を提供することで、顧客幅を広げることを目指したとのこと。つまり「いかなるシチュエーションにも合う」「家族に合わせたクルマ」を実現する「どんな場所でも似合うミニバン」ができるのでは? と考えて6代目ステップワゴンは誕生しました。
それではこんかいの2モデル、「Air」と「SPADA」をそれぞれご紹介しましょう。
シンプルでどこにもで合う「Ai」
まずはAir。どこか初代ステップワゴンを彷彿させるエクステリアが印象的な1台です。ナチュラルでクリーンなスタイリングは嫌味がなく、どのような場所にもマッチングすること間違いナシです。シンプルな造形ゆえに、パーツレイアウトなどはかなり煮詰められたようで、デザイナーも苦労を重ねたのだとか。
フロントグリルをよく見ると左右に3つの穴が。ですが、よくみるとふさがっています。デザイナーによると「もともとエアインテークの穴をあけてほしいという要望があったのですが、結局不要になりまして。その名残りなんですよ。でもなくなっちゃうとなんかノッペリとしすぎるので、形を変えて残しました」なのだとか。さり気ないコダワリ部分です。
このシンプルなAIRこそ、今回のステップワゴンを体現している1台といえそう。嫌味がなく、どこに置いてもクルマが主役にはならない。明るめの色と相まって、これは実にイイかも!
外も中もプレミアムな「SPADA」
続いてSPADA。いわゆる豪華装備版のステップワゴンになります。こちらはガラッと変わっての「ドヤ顔」仕様。とはいうものの、そこまでドヤっておらず、「#素敵な暮らし」や、クルマを主役としないというテーマにも沿っていると感じました。
フロントバンパー下部からボディー全体にかけてシルバーの加飾がぐるりとまわって、カスタム感を演出しているのもSPADAのポイント。
リアを見ると大きなテールゲートスポイラーが目を惹きます。こちらはSPADAの専用装備。この形状にも相当なコダワリがあるとのこと。それは製品版が出てからご紹介したいと思います。