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3月打ち上げの衛星4基が完成、国産コンステレーション「AxelGlobe」

地上分解能2.5M、アクセルスペースが生み出す衛星データの可能性

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政府と民間の連携による宇宙ビジネスの推進

 パネルディスカッションでは、「政府と民間の連携」と「衛星コンステレーション」の2つのキーワードで議論が展開された。

東京大学大学院 工学系研究科航空宇宙工学専攻 教授 中須賀真一氏:米国では政府がお金を出して企業が衛星開発を行うというのではなく、企業が自分の資金調達によって技術を伸ばし、その成果を政府がサービス調達する、という形で宇宙産業が発展してきている。日本でもこういったことをしていかないと、政府のお金だけではすべての宇宙ビジネスを支援していくことができない。このサービス調達という考え方について、JAXAではどのように考えているのか。

JAXA 新事業促進部長 岩本裕之氏:今、JAXAでは民間から調達できるものは民間からという考え方が基本になってきている。これは企業ができることがすごく増えているから。衛星作りもそうだし、ロケット打ち上げもそうだし、探査まで含めていろんなビジネスが出てきている。これまで宇宙と言えばJAXAがすべてやるというイメージがあったが、これからは民間が作ったものを我々も調達させていただく、そんな形で宇宙での活動を拡げていければと思っている。具体的には、デブリ関係で企業と協力してサービス調達に近い形でプロジェクトを進めている。

中須賀氏:米国はそういう点では日本より一歩先に行っていると思うが、例えばNASAがアクセルスペースの画像をサービス調達するといったことがあるのだろうか。

NASA アジア担当代表 ガーヴィーマッキントッシュ氏:NASAは米国機関であるため、日本の民間宇宙企業と直接協力することは難しい。しかし、NASAは多くの地球観測衛星を持っているが、それでもすべての領域をカバーすることはできない。アクセルスペースの協力によって、NASAの欠落しているデータの一部が補足される可能性もある。もっと議論が必要だが、NASAとアクセルスペースが協力する絶好のチャンスと考えている。

中須賀氏:アクセルスペースはNASAとやるとしたらハッピーか。

中村氏:ガーヴィー氏が言ったように直接は無理かもしれませんが、米国の企業と協力しながらデータを提供していくというのはぜひやっていきたい。

中須賀氏:NASAから直接ではなくてNASAが発注した企業の下で日本のベンチャーが動く、そういうやり方もあるんじゃないかと思うので、そこは是非いろいろ考えていただきたい。もっともっと政府にお客になってほしいと思うが、経産省的にそれに向けてこんなことやっているということはないか。

経済産業省 製造産業局 宇宙産業室 室長補佐 伊奈康二氏:来年度に向けて作ろうとしている政府衛星開発・実証プラットフォームの中で、関係する省庁のニーズを吸い上げながら、実証を行っていくというのがひとつある。また、政府省庁の中でコンステレーションがここまでできるようになっているということを知らないというところがある。そこは地道にいくつかの省庁に足を運んで、ここまでできるようになっている、こんな事業は考えられないか、という省庁をまたいだ営業活動をやっている。

中須賀氏:最近JAXAは投資ができるようになったという話も聞いた。

岩本氏:来年4月以降出資ができるように法律が整備されることになっている。JAXAはいろんな人が宇宙を利用できるようにしたいと思っているので、民間からでは出資が難しいようなスタートアップに対してJAXAが出資をすることで、新しい宇宙の可能性を拡げていけないかと思っている。また、今我々はJ-SPARC(JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ)という制度を運用しているのですが、そこで民間企業と一緒に衛星データの顧客探しをしたり、新しい利用形態を一緒に考えたりといった支援を行っていけたらと思っている。

(左から)東京大学大学院 工学系研究科 航空宇宙工学専攻教授 中須賀 真一氏、経済産業省 製造産業局 宇宙産業室 室長補佐 伊奈康二氏、JAXA 新事業促進部長 岩本 裕之氏、NASA アジア担当代表 ガーヴィー マッキントッシュ氏、アクセルスペース 代表取締役 CEO 中村 友哉氏

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