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大手企業282社が福利厚生として採用

AI支援で出会いにも変化 恋愛ナビゲーションアプリ「Aill」への期待感

2020年11月02日 09時00分更新

文● 松下典子 編集・聞き手●北島幹雄/ASCII STARTUP編集部

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 株式会社AILL(エール)は、人と人とのコミュニケーションをアシストするAIと関連するアプリサービスを開発しているスタートアップ。9月7日に世界初の恋愛ナビゲーションアプリ「Aill(エール)」を正式リリースし、すでにNTTグループやみずほグループを始めとする282社の企業が福利厚生サービスとして導入。9月17日には、一般社団法人九州経済連合会と協業を開始し、九州地区の婚期創出事業にも取り組んでいる。

 AIはどのようなアシストをしてくれるのか、どのような成果が見えているのか。代表取締役の豊嶋 千奈氏に「Aill」の開発の背景とAIアシストの内容について伺った。

営業で培った独自のコミュニケーション攻略法を恋愛に転用

 国連の世界幸福度ランキングでは、日本人は先進国の中で最下位だ。長寿で健康、仕事も充実しているのに、なぜか心が満たされていない。その理由はパートナーの不在ではないか。実際、厚生省の調べでは、日本の20・30代の男性の69%は恋人がいない。この問題が解消されれば、日本人の幸福度はぐんと上がるかもしれない。

 だが成果主義が浸透した若年世代は、結果を出すことに強いこだわりを持ち、結果が不透明なため傷つくことを恐れている。そのため、恋愛へのハードルが高くなっているのではないか……こんな仮説から豊嶋氏は、恋愛におけるハードルを下げるために、出会いから初期のお付き合いまでをAIでアシストするサービスを思い付いたそうだ。

 起業前の豊嶋氏は、大手製薬会社でトップ営業として活躍しており、その営業ノウハウを恋愛に転用して、アプリ内における男女間のファーストコンタクトから対面後、そしてお付き合いに至った後も含めてのコミュニケーションにおけるアルゴリズムを設計。AIエンジンは、人工知能研究の先駆者である、北海道大学の川村 秀憲教授、東京大学の松原 仁教授と鳥海 不二夫准教授の3人と共同開発している。

代表取締役の豊嶋 千奈氏

 Aillには「紹介」「会話」「好感度」の3つのAIナビゲーションがあり、「紹介ナビゲーション」で相性のよさそうな異性を紹介し、「会話ナビゲーション」では、相手とのチャットにAIが介入し、関係がうまく進展するように、デートに誘う自然なタイミングや、心の距離を近づける会話の流れを教えてくれる。

 「好感度ナビゲーション」では、気になる異性の自分への好感度メーターを表示。気になる異性の気持ちの変化、自分に対する好感度が事前に予測でき、AIがリアルタイムでアシストすることで、そもそもデートに至らないようなアプリ上でのディスコミュニケーションを最小限に抑えられる。

 そもそもAillは、既存のデーティングやマッチングのサービスとは一線を画している。いきなり男女間の出会いに至るわけではなく、ある種AIが仲人のような形をとって、挨拶から始まりチャットでのコミュニケーションでお互いを意識しあって、デートを実施してそしてお付き合いが始まってアプリを卒業といったそれぞれの段階を踏んだ流れが想定されている。

 実際のユーザーによる結果では、AIのアシストを受け入れることでデートのお誘いまでの達成率は自力に比べて大きく上昇。そこから実際にお付き合いへの進展にもつながっているとのこと。

ワークライフシナジーで地方創生へも貢献

 Aillは、企業向けの福利厚生サービスとして提供されており、従業員自身がAillのサービスサイトから申し込む形だ。各企業の契約内容によって料金は多少異なるが、月額5000円程度で利用できる。

 AIアシスト以外の最大の特徴としては、一般の婚活サービスに抵抗がある人でも、企業向けのプラットフォームであるため、信頼できる企業の独身社員であることが担保されており、さくらや冷やかしのユーザーがいない安心感がある。また、違反者行為があったとしてもAIが事前にチェックして弾いてくれる。

 Aillでは、お付き合いが成立したら卒業となるが、アシストの効果が高いだけに、その後、AIなしでうまく続いていけるだろうか。

 豊嶋氏に聞くと、その心配はあまりないそうだ。むしろ、Aillを使ってAIのアシストを体験することで、相手の反応から意図を読み取るコツが身に付き、そのうち自分自身で行動予測できるようになるという。また、成功体験を摘むことで自信がつき、積極的なコミュニケーションがとれるようになる。AIアシストをヘビーに使っていたにもかかわらず、アプリ卒業後のアンケートで「AIはいらなかった」と答えるほど、自信がついているユーザーの声もあったという。

 九州経済連合会との協業では、私生活の向上によるワークライフシナジー効果に加え、結婚、子育てへとつながれば、経済効果も期待できる。九経連との協業を足掛かりに、地方創生の一助として、ほかの地方へも展開していきたいとのこと。アフターコロナでは、見知らぬ人と直接会うこと自体に抵抗があるし、オフィスへの出社も減り、職場恋愛も生まれにくい。直接会わずに人間関係を築くためのサービスはますます需要が高くなってくるだろう。Aillでは今後、恋愛以外にも、営業や採用、チームビルディングなど、さまざまなコミュニケーションへの転用も計画しているとのこと。

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