トヨタがMaaSアプリ「my route」を横浜に展開する狙い

文●鈴木ケンイチ 編集●ASCII

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トヨタが考えるプラットフォーム作りが
この「my route」

 7月22日、梅雨の合間の蒸し暑い曇天のもと、横浜スタジアムにも近い横浜メディア・ビジネスセンターで記者会見が開催された。内容はスマートフォン向けマルチモーダルモビリティーサービス「my route」(マイルート)の横浜の都心臨海部に向けたサービス開始を告知するものであった。記者会見では、時節柄にあわせ、釈由美子さんなどのタレント陣の応援メッセージが動画で披露された。

「my route」(マイルート)の横浜でのサービス提供にあわせて神奈川県のオールトヨタ販売店によって共同設立された株式会社アットヨコハマの役員

 my routeとは、トヨタが2018年11月より提供を始めたスマートフォン向けのアプリ。これは目的地までの「あらゆる移動手段を含めたルート検索」を行ない、さらにアプリ内で「予約・決済」も可能とする。いわゆるMaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス)を実現するアプリだ。ただし、トヨタのmy routeはさらに個性的な特徴を備えている。それが地域との連携である。

現在、神奈川県に在住しており、神奈川県オールトヨタ販売店アンバサダーを務める釈由美子さんも動画で応援メッセージを伝えた

 2018年の最初のローンチでは、my routeは福岡市に特化したアプリだった。バス、鉄道、タクシー、レンタカー、サイクルシェアなどの移動手段の検索だけでなく、地域内の店舗やイベント情報まで提供されたのだ。もちろんトヨタ一社で実施することはできない。そのために西日本鉄道や福岡市をはじめとするサービサー8社と連携。移動だけでなく観光や買い物などまでをカバーするMaaSアプリとなった。

my routeの起動画面

 さらにトヨタは、2020年1月にmy routeのサービス提供エリアを全国に拡大。地元サービサーとの連携によるエリア限定のご当地サービスも、福岡市だけでなく、水俣市、宮崎市・日南市、そして横浜でも実施すると発表している。つまり、7月22日の記者会見は、こうしたトヨタによるmy routeのサービス拡大の動きのひとつであったのだ。

 ちなみにトヨタがMaaSアプリを展開する理由は「プラットフォームづくり」にある。トヨタはすでに数年前より「クルマを売るのではなく、移動を売る会社(モビリティーカンパニー)」へとフルモデルチェンジすると宣言している。当然、移動に使う手段はクルマに限らない。鉄道もあれば自転車もあるだろう。また、近く登場するはずの超小型EVも含まれる。そうしたときに必要と考えられているのが、多彩な移動手段をまとめるプラットフォームだ。

 具体的には、移動手段を提案して予約・決済を行なうサービスだ。つまり、そのサービスがMaaSアプリであり、プラットフォームとなる。トヨタがモビリティカンパニーとなるためには、その根っこの部分を抑えておかなければならない。数多あるライバルを蹴散らし、自らの手になるMaaSアプリがトップシェアを獲得する必要がある。それを実現させるキラーコンテンツが地元サービサーとの連携と言えるだろう。

日産も協力して横浜を盛り上げていく

 今回の横浜市都心臨海部へのサービス拡大は、従来からあるmy routeの全国共通のサービスに加え、「レンタカー/カーシェアリング」「シェアサイクル」「デジタル1日乗車券」「タクシー配車」「地域のお役立ち情報」「多彩な交通情報」「地元商店街のイベント・お得情報」が提供される。注目点は、日産も参加しており、日産レンタカーと「e-シェアモビ」も含まれること。また、タクシー配車は「JapanTAXI」だけでなく横浜エリアでの利用シェアの高い「MOV」も含まれていることだ。

 また、今回のサービス開始にあわせて、神奈川県にある4社のトヨタ販売店は共同で「株式会社アットヨコハマ」を設立。ポータルサイト「@YOKOHAMA」を開設し、アプリと連携して、地域の店舗やイベントなどの情報を発信していくという。

 ただし、こうしたサービスの実現までには準備に2年半をかけたが、それでも現時点で完成したわけではないという。「まだ、産声をあげたばかり。参画の輪を広げて、大きく育てていきたい」とトヨタ関係者は言う。

 トヨタがモビリティーカンパニーへの進化の道程を左右する重要アイテムとなるのが、今回のMaaSアプリ「my route(マイルート)」である。この先、横浜だけでなく全国の都市へ広がってゆくことが予想される注目の存在といえるだろう。

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筆者紹介:鈴木ケンイチ

 

 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

 最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。


 

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