北海道ならではの課題を時計で解決! シチズン初のハッカソン
「Riiiver Innovation Project」レポート
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シチズン時計はNoMapsと共同で、独自のIoTプラットフォーム「Riiiver」(リーバー)に連携するスマートウォッチ「Eco-Drive Riiiver」を活用して、「未来の感動時間」を創るアイデアソンとハッカソンを8月から3ヵ月間に渡り実施。10月17日のNoMaps2019のセッション「地域課題解決に挑戦! 『Riiiver Innovation Project』」では、ハッカソンの優秀賞に選ばれた3チームが最終プレゼンを行ない、最優秀賞が決定した。
パーソナルな機能の自作と共有からコミュニティが生まれる
シチズン時計の独自IoTプラットフォーム「Riiiver」
シチズン時計の提供するIoTプラットフォーム「Riiiver」は、さまざまなデバイスやサービスを起点に、人・モノ・コトをつなげる狙いを持つIoTプラットフォーム。対応デバイスをRiiiverと連携させることで、自分のライフスタイルに合わせて、ほしい機能を誰でも簡単に自作できる。
ユニークなのは、作成した機能をユーザー同士が共有できること。あるユーザーが自分のライフスタイルを楽しむための機能を作り、それに共感した別のユーザーが機能をシェアすることで、コミュニティーが生まれる。Riiiverという名前には、川沿いの集落が広がって文明を築いていくように、コミュニティーが広がってほしい、という思いが込められているそうだ。
ユーザーが作成できる機能のことを「iiidea」(アィイデア)と呼ぶ。iiideaの要素となるのが、きっかけの「トリガー(T)」、つなぐ対象の「サービス(S)」、実行する「アクション(A)」の3つ。たとえば、「朝起きたらコーヒーをいれる」という機能であれば、「トリガー」は起床時間、「サービス」はコーヒーメーカー、「アクション」はコーヒーをいれる、になる。この3つがそろえばアイデアを具現化できる。
とはいえ、一般のユーザーにとって本格的な開発はハードルが高い。Riiiverでは、コードが書ける人と書けない人に向けて2種類のツールを用意している。コーディングができなくても、トリガー、サービス、アクションの仕組みさえ理解できれば、この3つを組み合わせるだけで、誰でも簡単に機能を自作できる。
たとえば、Riiiver対応ウォッチのボタンを押すと(トリガー)、天気の情報を取得し(サービス)、それに合わせた音楽を流す(アクション)といった機能が作れるわけだ。
もう1つの特徴は、iiideaの共有。公式アプリのStoreから、ほかのユーザーが作った機能を自分のEco-Drive Riiiverにダウンロードして使ったり、自作のiiideaをアップロードしてほかのユーザーに使ってもらうこともできる。
排泄予測、思い出の記録など、3チームが最終プレゼン
今回の取り組みでは、Riiiverの面白さをいろいろな人に体験してもらうため、NoMapsとの連動企画として、北海道の暮らしを楽しくする「未来の感動時間」をテーマにしたアイデアソンとハッカソンを実施。8月のアイデアソンでは学生やビジネスマンのチームが3つの要素を考え、9月のハッカソンではクリエーターとデザイナーが実際に具現化していった。
アイデアソンでは、札幌市の課題である健康寿命を延ばすアイデアとして、田舎のおじいちゃんの運動量を村ごとに競わせる「爺スポーツ」、雪かきで宝物を見つけるトレジャーファンティングなど、北海道ならではのユニークなアイデアが出たそうだ。
本記事でレポートするセッションでは、ハッカソンから選ばれた3チームによる最終プレゼンが行なわれた。
北海道ドライブ旅行のトイレ問題を解決
チームYONEは、移動時間の長い道民の尿問題を解決するサービス「Piii」を発表。広大な北海道を車で旅行すると、なかなか次の休憩スポットが見つからないことがある。そこでレンタカー向けのオプションサービスとして、Eco-Drive Riiiverと排泄予想デバイスの「DFree」をセットで貸し出すことを提案。DFreeを装着すると、Eco-Drive Riiiverで尿測が可能になり、ボタンを押すと、秒針で尿の蓄積量、長針と短針で限界の予想時刻が表示されるというもの。面白いアイデアだが、開発担当のメンバーがチームを抜けてしまったため、実際の開発はなしでのアイデア発表のみとなった。
エモーショナルな時間と場所を発信
過疎化対策チームは、道内地域の魅力の発信ツールとしてRiiiverを活用するアイデアを紹介。「エモい」と感じた場所でEco-Drive Riiiverのボタンを押すだけで位置情報を記録し、ウェブサービスを介して、マップ上で時間と場所を共有できる。SNSのように写真やテキストを残さないことで、かえって想像力を掻き立てられ、出かけてみたくなるかもしれない。地図上のアイコンの色で時間を表示し、なんとなく、おすすめの時間帯がわかる仕掛けも。控えめな道民性にマッチした情報発信のアイデアだという。
最優秀賞は、地域で見つけた感動のタネを共有するサービス
ハシミヤの開発した「Siiid」は、気持ちが動いたときの時間と位置情報を記録し、感動時間のタネを育てられるサービス。何か感動する出来事があったときに、トリガーボタンを押すと、時間と位置情報をRiiiverから取得し、そのときの天気、気温、湿度、月例など、さまざまなデータを記録。このデータをタイムラインに表示するほか、ほかのユーザーが記録した地点を地図上にヒートマップ表示が可能だ。
ヒートマップは、その地点でボタンが押された回数が多いほど緑から赤へ変化することで人気スポットがわかる。データが増えてくれば、ガイドブックには載っていない地方の隠れた観光資源を見つけられる可能性もある。
審査の結果、最優秀賞はハシミヤが受賞。参加した3チームには、NoMapsロゴを刻印したEco-Drive Riiiverが贈呈された。
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