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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第64回

iPad miniが「ピュアなiPad体験」に:

アップルがiPad体験を再定義した2019年

2019年10月23日 16時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

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●iPad miniに「ピュアなiPad体験」が残されている

 筆者はiPad Pro 12.9インチを、ノートパソコンと同じ使い方で毎日持ち歩いています。しかしこれによって、今までのようなiPadの使い方、すなわち電子書籍や雑誌を読んだり、移動時間にビデオを見たりすることはほとんどしなくなってしまいました。

 仕事用にバッテリーを温存したい、という意図が働くようになったほか、移動などで椅子に座れる空き時間ができたら、そこで仕事をしてしまう、という時間の使い方の変化もありました。この現象はおそらく、iPad(第7世代)からiPad Proまで、キーボードがついていて、普段の仕事環境を実現できるiPadであればどのiPadを選んでも同じでしょう。

 そこで、iPad miniに注目してみましょう。7.9インチRetinaディスプレーを備えるスマートフォンより大きな画面と、10インチクラスのiPadより150g以上も軽い300.5g(Wi-Fiモデル)と最軽量のiPadは、実は仕事道具と変化したiPadシリーズの中で唯一、今までのメディア消費を主軸に楽しめる製品としてのキャラクターが残されているのではないか、と感じました。

 確かにスマートフォンのディスプレーも拡大し、iPhone 11 Pro Maxの6.5インチは、数字の上では7.9インチに近づいてきました。それでも、iPad miniと比べれば、縦横比4:3の扱いやすさもあり、広々とした画面でコンテンツを楽しむことができます。

 手元のデバイスは極力減らしたい、ということで6.5インチのiPhoneと12.9インチiPad Proを選択していますが、もっとiPhoneの画面サイズを小さくしたり、そうでなくてもiPad miniの入り込む隙は大いにある、と感じました。その点で、仕事道具化しないピュアなiPad体験はiPad miniに残されている、といえるのです。


筆者紹介――松村太郎

  1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

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