DLSSの効果が明確にわかる「MONSTER HUNTER: WORLD」
最後に試すのは「MONSTER HUNTER: WORLD」(以下、MHW)だが、Hi-Res Texture Packを組み込んだ状態で検証する。待機所を作成し、一定のコースを移動したときのフレームレートを「OCAT」で計測したが、このゲームも最低フレームレートは0.1%点と1%点に注目する。画質は「最高」に設定している。
そして、直近のアップデートで追加されたDLSSの効果も検証してみたい。DLSSに対応したゲームはBFVを筆頭に何本かあるが、どれもDXR対応とセットになっており、DLSS単独対応はなかった。だが、今回MHWでDXRに依存しないDLSSだけの貴重な実装例が確認できたことになる。MHWのDLSSはフルHDでは有効化できないため、DLSSの検証はWQHD及び4Kで行なう。DLSSのシャープネス設定は(個人的な好みにより)0.3とした。
下位0.1%点のフレームレートはやや荒れ気味だが、1%点はほぼ平均フレームレートに連動しており、全体的な傾向はBFVなどと変わらない。RTX 2080 SUPER FEはRTX 2080 Ti FEに大きく離されてはいるものの、価格帯をRTX 2080から継承するスペックアップ版GPUとしては妥当なポジションを獲得したと言えるだろう。
そして、驚くべきはDLSS有効時のフレームレートの伸びだ。DLSSを使わない時と比べて45~50%程度伸ばしている。現状間違い探し的なビジュアルしか出せていないDXRと違って、DLSSは非常に効果が大きいことが示された。これぞRTX 20シリーズの真骨頂だろう。
NVIDIAとしてはこのMHWのような事例をもっと積極的に増やし、RTX 20シリーズがライバルあるいは下位モデル(GTX 16シリーズ)に対して割高という印象を払拭していくべきだろう。
まとめ:RTX 2080 SUPERは順当な性能アップ
とはいえ、価格設定の競争力は厳しい……
以上でRTX 2080 SUPERを含めたRTX 20 SUPERシリーズの検証は終わりだ。RTX 2070など、従来のRTX 20シリーズの下位モデルがRX 5700シリーズに価格的にも性能的にも食われてしまったが、性能においてはSUPERでうまくカウンターが打てた形だ。
しかし、RX 5700 XTのリファレンスモデルの価格が実売5万円~なのに対し、RTX 2070 SUPERは安いモデルでも6万5000円超。なのでお買い得感という勝負では完全にAMDにやられた感もあるが、少なくとも性能で対抗するにはTuringをどう料理すればよいか、は正しく把握できていたようだ。
下のグラフはRTX 2080 SUPERが今回比較対象として用意した各GPUに対し、どの程度速いか遅いかをゲーム系ベンチマークの平均フレームレートをベースで算出したものとなる。
RTX 2080 SUPERの国内価格がいくらになるかは不明だが、RTX 2080の価格帯(7.5~12万円)を継承すると想定すると、実売5万円程度のRX 5700 XTに対し、10~20%程度のゲインというのはかなり厳しい印象がある。DXRやDLSS、VirtualLink対応というRTX 20 SUPERシリーズならではのメリットもあるが、まだこれらのメリットをユーザーが存分に享受できる状況にはない。
もちろん、「Call of Duty」や「Watch Dogs」の新作などのビッグタイトルでDXRが対応という好材料はあるが、リリースと同時にDXR対応である保証はどこにもない。BFVや「Shadow of the Tomb Raider」のようにかなり遅れて対応する場合もあり得る。GCN世代のRadeonが相手だった2019年前半までの状況ならともかく、安くてそこそこ速いRDNA世代のRadeonという強力なライバルが登場した今、NVIDIAは製品戦略を少し見直すべきではないだろうか。
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