ここ数年、強烈なデザインのPCケースを年1台のペースでリリースし、「ケースって何だろう?」という根源的な問いを自作PCユーザーに突き付け続けている老舗メーカーのIn Win。2017年の「WINBOT」、2018年の「Z-Tower」など、ユニークなプロダクトはCOMPUTEXの展示ブースでお披露目していることから、今年も意欲的な製品の登場を期待していたユーザーは多かっただろう。果たして、In Winはそんな期待を裏切らなかった。COMPUTEX TAIPEI 2019で登場したのは、蛹(さなぎ)型PCケース「蛹(Yong)」だ。
外観は見ての通りで、昆虫の蛹のようなフレームをスタンドで中空に固定しており、昨年の「Z Tower」と同じくマザーボードを包み込むようなスケルトン構造を採用。フレームはアルミニウム製で、E-ATXからMicro ATXまでのマザーボードサイズに対応する。ドライブベイは2.5/3.5インチ共用のものが2つのみ、PCIeスロットは8段(垂直2段、ライザーカードが標準付属する)まで用意。CPUクーラーは高さ170mmまでの製品を利用可能で、ラジエーターは360mmまで装着可能としている。
ここまでの情報では「正直Z Towerとそれほど変わらないのでは?」と思われるかもしれないが、本製品が凄まじいのは、ブースで確認できただけでもカラーバリエーションが5種類用意されており、しかもよく見るとそれぞれフレームの形状が微妙に異なることだ。担当者に「売るんですか? 本当に?」と確認したところ、「ぜんぶ売る!!!」とのこと。いずれも年内には登場する予定で、価格は約4000ドル前後となる見込み。すでに日本国内でも取り扱いの予定はあるらしく、国内代理店担当者からは「全バリエーション1個は用意したい」と力強いコメントを頂戴した。価格や大きさを考えれば、購入には相応の覚悟が必要になるが、誰よりもユニークなPCケースが欲しいのであれば一考の価値があるだろう。
MODを意識した新作ケースも
もう一つ、会場で多くの人目を引いていたのが、プラスチック製のフレームケース「ALICE」だ。まるでポリバケツのようなプラ製のフレーム内部に、ネジで取り外し可能なパーツ固定用の金属板を配しており、フレーム自体には電源スイッチのみを備えている。さらに「外装はユーザーが用意する」というユニークなコンセプトを持つのも大きな特徴で、展示では布製のカバーを外装として利用していた。比較的簡単にMOD PCの素体として利用できるため、MOD PCの入門用として使ったり、内部の金属板を取り外して新たなMOD PCを作成するなど、あらゆる使い方が想定できる。
「耐熱性などの細かなテストはこれから」ということなので、詳細な発売時期は未定だが、早ければ年内にもリリースするものと思われる。構造上、価格も比較的安価となりそうなので、MOD PCで活用するにはうってつけのPCケースと言えるだろう。
さらに近日登場予定のモデルもいくつか用意されていた。「925」は、In Winがすでに発売しているHEDT向けSSI EEB対応ケース「928」をより一般的なATXサイズに縮めたコンパクト版。928の発表時に人気を集めた外観はそのままで、拡張性はそれほど変わらないことから、売れ筋のモデルとなりそうだ。
「905」は、フロント部分にOLEDのモニターを備える見栄え重視のPCケース。サイドパネルは両面が強化ガラス仕様となっており、背面のシャドウベイにもLED搭載SSDなどを設置することで、よりフォトジェニックなPCを制作しやすい。OLEDではPC情報のモニタリングが可能だ。
「309」は、フロント部分に大量のLEDを配置し、専用ユーティリティーでドットイラストなどを表示できる「307」の後継モデル。フロントパネルがガラスとなりドットイラストの視認性が向上したほか、I/Oスイッチの形状を変更することで操作性を高めている。「307」と同じく、「GLOW 2」からLEDを制御し、オリジナルのイラストを表示可能だ。
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