最新パーツ性能チェック 第259回
Intel SSD 660pやOptane Memory単体版との性能差は?
Optane Memory H10を使い倒してわかった利用制限と性能
2019年05月23日 10時00分更新
H10はIntel 300シリーズ搭載マザーボードじゃないと起動ドライブとして運用できない
まずはH10が実際にどのような環境で利用できるのか検証してみた。H10の公式動作環境は、前回のファーストインプレッションでもお伝えしたように、CPUは第8世代CoreのCoffee Lake以降を利用するプラットフォームに限定されている。また、H10のOptane部をSSD部のキャッシュとして利用するには、Intel RST Driver 17.2以降のインストールも必要となる。
実際にこの条件を満たしているIntel Z390チップセットを採用したASUSのマザーボード「PRIME Z390-A」にH10をセットしてみると、普通にNVMe SSDとして認識され、特に何の設定を行なわなくてもSSD部とOptane部をそれぞれ独立したNVMe SSDとして利用できた。
また、UEFIでストレージの動作モードを「Intel RST Premium With Intel Optane System Acceleration(RAID)」に設定すれば、H10のOptane部をSSD部のキャッシュに利用できるようになるという本来の動作も問題なく行なえた。
ただし、一般的なNVMe SSDやOptane Memory単体版とは設定方法が異なる点もあった。それは、H10をセットしたM.2スロットのPCH Remapped PCIeコントローラーの設定(ASUS製マザーボードのUEFIの場合は「M.2_X PCIE Storage RAID Support」と表示)が、強制的に「Enable」(今回の場合は「RST Controlled」)に設定されるとともに、グレーアウトして設定が変更できなくなることである。
この挙動は、マザーボード側が接続した機器が厳密にチェックしているということの裏返しだ。つまり、対応マザーボードじゃないとH10はきちんと動かないようになっているということになる。
試しに、H10の対応動作環境に含まれていないIntel Z270チップセットを搭載したASUS「PRIME Z270-K」にH10をセットしてみると、デフォルト設定ではドライブが見えず、RAIDモードにして初めてドライブが認識できた。しかし、OSインストール作業時には再びドライブとして見つからなくなる。つまり、起動ドライブとして利用することはできなかったのだ。
とはいえ、データドライブとしてなら運用できるので、Intel 200シリーズチップセット搭載マザーボードでもH10そのものを利用できないことはない。Intel RSTソフトできちんとOptaneキャッシュも適用できた。単体版のOptane Memoryでは起動ドライブ以外にOptaneキャッシュを適用する場合、Intel RSTではなく、Intel SRT機能を使わなければできなかった(しかもその制限で32GBモデルのみの裏技だった)のでありがたい進化点だ。
H10のOptane部は自身のSSD部のみしかキャッシュにできない
また、H10のOptane部は対応環境において小容量のNVMe SSDとして利用できることは前述した通りだが、キャッシュとして利用する場合はH10のSSD部の専用キャッシュとしてしか利用できない。つまり、Optane Memory単体版ではできていた、SATA接続SSDやHDDへのキャッシュ利用が、できないように設計されているのである。
実は検証前に、H10のSSD部は起動ドライブでOptane部はデータドライブ用HDDのキャッシュに使えれば、M.2スロットが1基しかないマザーボードにとってかなり便利な製品になるだろうと思っていたのだが、そうは問屋が卸さなかった。こちらも将来的にIntel RSTのバージョンアップなどで使えるようになるといいのだが……、Intelがこの用途を想定していないわけはないので、おそらく現状は技術的に厄介な事情を抱えているのだと思われる。
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