メルマガはこちらから

PAGE
TOP

スタートアップの成長に向けた知財利活用の課題と実例

「IPナレッジベース」コミュニティーイベント in 大阪レポート

特集
STARTUP×知財戦略

1 2 3 4 5

 続いてプレゼンを行なった武野氏のあっと株式会社では、大阪大学や慶應義塾大学、理化学研究所などと共同研究をしている。そこで外部との連携に関わる質問を投げかけた。

武野氏(以下、敬称略):「外部との連携を見据えて、知財関連でやっておくべきことを教えてほしい」

内田:「秘密保持契約を締結するのは必須。海外では、秘密保持契約を結ばずに開示した情報を平気で使う企業もある。秘密保持契約を締結していない以上、文句が言えない。開発成果物の帰属についても事前に決めておく必要がある。御社のようなデータを提供する会社の場合は、データは所有権の対象にならないから、データの利用権限・利用条件を契約で明示しておくことも重要」

武野:「AIをやりませんか、という話がよく来る。今後はどうしたらよいと思うか。自社でやるべきか外部と共同すべきか」

内田:「外部と共同するのであれば、ノウハウの流出につながるケースもあるので、特許などを取得しておくことが望ましいケースもある。AIに関する知的財産権は、先行技術文献がないため、昨年審査請求があったうちの9割くらいは特許査定を取得している。今後、審査が厳格化するという方針も打ち出されているが,それでも特許査定が得られやすいとは思うので、今はAI関連技術についてどんどん出願すべき。その際、AIのアルゴリズムや学習済みモデルを権利化するやり方と、システムやサービスとAIの推論結果を組み合わせたAIの利用発明という形で権利化するやり方がある。後者はAIのアウトプットが権利になるので、権利侵害の判断がしやすい」

武野:「日本で権利化されたものは海外で通用するのか」

貝沼:「日本で審査したものが海外で同じように審査されるわけではないが、特許審査ハイウェイ(PPH: Patent Prosecution Highway)というものがあって、日本の結果を参照して海外でも審査するということがある。日本の審査結果は信頼されており、日本で権利化されたものは8割9割海外でも権利化される」

内田:「ベンチャーは特許の出願のタイミングが遅く、新規性や進歩性の問題で権利化できないこともある。事業の構想ができたら、外部に出す前に出願だけはしておかなくてはいけない。投資家などに秘密保持義務を課さずに開示してしまったり、サービスをローンチした後で出願するなどしてはいけない」

あっと株式会社 代表取締役 武野 團氏

1 2 3 4 5

合わせて読みたい編集者オススメ記事

バックナンバー