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スタートアップの成長に向けた知財利活用の課題と実例

「IPナレッジベース」コミュニティーイベント in 大阪レポート

特集
STARTUP×知財戦略

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 企業の知財戦略立案には、経営者だけでなく知財専門家からのアドバイスも必要だが、人脈の乏しいスタートアップには、ベンチャー経営や最新技術に通じた知財専門家とのコネクションがないことも課題の1つだった。これを支援するため、特許庁は「知財アクセラレーションプログラム(IPAS)」を立ち上げた。

 スタートアップが取得した特許などの知的財産も、あとから穴が見つかることがある。また、大企業との間で締結した契約に不利な条項が含まれていることも少なくない。IPASは知財の専門家と新規ビジネスの専門家からなる「知財メンタリングチーム」をスタートアップに派遣するプログラムで、特許の追加出願や契約内容の見直しといった知財戦略の構築を支援する。

 知財を持ち、海外進出を検討しているスタートアップには、JETROと共に「Jetro Innovation Program :(JIP:日本発知財活用ビジネス化支援事業)」を提供している。これは世界各地域(米国・欧州・中国など)から講師・メンターを招請し、ビジネスモデルの構築やマーケティング戦略立案のトレーニングを提供する「BootCamp」で絞り込んだスタートアップに対して、メンタリングや現地展示会・ピッチイベントなどへの参加支援を行なうプログラムである。

 すべて英語で実施されるBootCampだが、海外での提携先や販売委託先を見つけるチャンスが得られることになる。興味あるスタートアップは是非特許庁に問い合わせをしてみてほしい。

 2018年12月、特許庁は新たなウェブサイト「IP BASE」を開設した。このサイトではすでにスタートアップに不可欠な知財戦略に関する基礎知識や支援施策などの情報が提供されているが、貝沼氏が特に強調していたのは、このサイトが「コミュニティづくり」を重視しているということだった。

 スタートアップにとって、弁理士や弁護士などの知財専門家とのコネクションづくりはハードルが高いのが現実である。それを一助となるべく立ち上げたのがこのサイトであり、スタートアップだけでなくVCやアクセラレータなどベンチャー業界の専門家と知財業界の専門家が気軽にコミュニケーションを取ることのできる場にすることを目指している。今後、メンバー限定でコミュニケーションツールの設置やメールマガジンの発行を行なう予定で、テーマ別の勉強会なども実施する予定とのこと。サイトが広く利用されることを期待する。

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