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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第32回

ジョブズ時代から変わらずに続けてきたことがある:

アップルが「GAFA」から抜けたがる理由

2019年03月08日 16時00分更新

文● 松村太郎 @taromatsumura

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●アップルはプライバシーもデザインする

 1984年、今から35年前にアメフトの一大イベント、スーパーボウルのコマーシャルで、アップルは初代Macintoshのコマーシャルを流しました。PC支配のディストピアから人々を解放するオルタナティブとしてMacを登場させ、マウス操作を主とするコンピュータをもたらしました。

 アップルはプライバシー問題の解決をデザインすることで、ふたたびGAFAの支配から人々を解放するオルタナティブを提案しようとしているかもしれません。その点で、アップルは「GAFA」から離脱し、「GAF」を取り残そうとしていると見ることもできます。

 アップルは昨年Facebookのユーザーデータ8700万人分が流用されたCambridge Analyticaのスキャンダルの際、ユーザーデータを使ったビジネスをする同社に対して厳しい批判をしてきました。プライバシーは基本的な人権であり、これを脅かすなら規制も辞さないと、ティム・クックCEOは意見を述べることもしばしばあります。

 アップルはそうした姿勢だけでなく、いくつかの方針を持ってこれらの話題に取り組んでいるそうです。

・最小限の個人データ収集
・デバイス上の処理
・透明性とコントロール
・セキュリティ

 この方針は、アップルのプライバシーを専門とする法務チームと、プライバシーやセキュリティを担当するエンジニアが構築し、彼らが製品やサービスのチームと広範な議論をしながら最善策を採っていきます。そう聞くと、エンジニアの暴走を法務チームが止める、という構図が思い浮かびますが、実際そうではない部分もあるそうです。

 たとえば、匿名化したユーザーの個人データを集める際、「タイムスタンプと場所を取得することは合法的だ」と法務チームが判断したそうです。しかしエンジニアチームは、「それらデータを扱う上で必要ない」あるいは「それは良くない」と判断し、集めない仕様になりました。エンジニアサイドにもプライバシーの意識が強いことを物語るエピソードといえます。

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