ビジネス向けのPC
IBM-PC/XTを投入
さて、時計の針を少し戻す。初代IBM-PCとなったIBM 5150は無事に生産がスタートしたが、これに続いて設計チームに課せられたのは、「よりビジネスに向いたPC」である。具体的にはHDDの搭載と、拡張性の増加である。
初代のIBM 5150の場合、マザーボード上に最大64KB分のDRAMソケットを搭載、拡張は64KBのDRAM拡張カードを装着する形であったが、なにしろ拡張スロットそのものが5本しかないため、ビデオカードとFDDのコントローラー、プリンターのI/Fを装着するともう残りが2スロットという苦しい状況だった。
画像の出典は、Wikipedia
それもあって、メモリーの増設にはIBM純正のDRAMカードではなく、AST Researchが出していたSiX Pakのような高密度のDRAMカード類が広く利用される状況だった。
画像の出典は、stason.org
また、キーボードとは別にカセットI/F用のDINコネクターが用意されていたが、すでに時代はFDDであり、カセットI/Fを利用するのは一部のホビー向けに留まることになった。ましてビジネス向けとなると、カセットI/Fを利用することはまずない。
こうした状況を鑑みて、まず拡張スロットを8本に増やすとともに、DRAMチップを64Kbit(初期型:後期型は256Kbit)に増強することで搭載メモリー量を増やした。またカセットI/Fはあっさり廃止された。
画像の出典は、Wikipedia
この新しいマザーボードを搭載するとともに、標準で10MBないし20MBのHDDを搭載することになったのが、1983年3月に発表されたIBM-PC/XTことIBM 5160である。
この連載の記事
-
第809回
PC
銅配線をルテニウム配線に変えると抵抗を25%削減できる IEDM 2024レポート -
第808回
PC
酸化ハフニウム(HfO2)でフィンをカバーすると性能が改善、TMD半導体の実現に近づく IEDM 2024レポート -
第807回
PC
Core Ultra 200H/U/Sをあえて組み込み向けに投入するのはあの強敵に対抗するため インテル CPUロードマップ -
第806回
PC
トランジスタ最先端! RibbonFETに最適なゲート長とフィン厚が判明 IEDM 2024レポート -
第805回
PC
1万5000以上のチップレットを数分で構築する新技法SLTは従来比で100倍以上早い! IEDM 2024レポート -
第804回
PC
AI向けシステムの課題は電力とメモリーの膨大な消費量 IEDM 2024レポート -
第803回
PC
トランジスタの当面の目標は電圧を0.3V未満に抑えつつ動作効率を5倍以上に引き上げること IEDM 2024レポート -
第802回
PC
16年間に渡り不可欠な存在であったISA Bus 消え去ったI/F史 -
第801回
PC
光インターコネクトで信号伝送の高速化を狙うインテル Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第800回
PC
プロセッサーから直接イーサネット信号を出せるBroadcomのCPO Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第799回
PC
世界最速に躍り出たスパコンEl Capitanはどうやって性能を改善したのか? 周波数は変えずにあるものを落とす - この連載の一覧へ