対応アプリや拡張カードが出回るきっかけとなった
IBM-PC
最初の1年に10万台近くを売り上げたという初代IBM-PCであるが、最初の4万台のオーダーは発売初日に集まったという話もあったらしい。あるディーラーなど、納期を約束できなかったにも関わらず22件の前払い金をそれぞれ1000ドルずつ受け取った、というから剛毅な話である。
画像の出典は、IBM Archives
なんとなくTRS-80発売時の騒ぎを彷彿するものがあるが、あちらは299ドルのマシン、こちらは最低でも1500ドル以上のマシンであることを考えると、1日で4万台というのはものすごいことだ。
このニュースを紹介した米BYTE紙は、「4万台の9割はソフトウェア開発者からのものだろう」と推定しているが、さもありなんという感じではある。
逆に言えば、多数の開発者が飛びついたということは、やがて多数のアプリケーションが出ることが予測される(実際そうなった)わけで、これはIBM-PCの市場構築に大きな助けとなったと言えるだろう。
発売から3ヵ月後の1981年11月に開催されたCOMDEXでは、早くもIBM-PC用の拡張カードの類が20種類以上展示されていたそうであり、1年後には753ものソフトウェアパッケージがIBM-PC用に発売されていたというレポートもある。恐ろしい勢いでIBM-PCのエコシステムが立ち上がることになった。
この中にはVisiCalcやLotus 1-2-3、Wordstar、dBASE IIといったキラーアプリケーションも含まれており、これらが登場することでさらにIBM-PCの人気が高まり、より多くの人がIBM-PCを求める結果としてさらにアプリケーションが増える、という正のフィードバックがかかることになった。

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