Spectre/Meltdownの脆弱性対策の余波は今もインテルを揺さぶっている。インテルはSpectre/Meltdownの脆弱性をCPUの側で解消するためのファームウェアアップデートをリリースしたものの、これを当てると古いCPU(Broadwell/Haswell)でリブートが起きる不具合が発生。
インテルはこれを公式に認め、22日に問題点を突き止めたことを明らかにしたが、現時点で修正されたファームウェアアップデートはまだ公開されていない。
問題がアーキテクチャーの根幹に関わる部分なので、当然修正をかけると余波は大きいわけで、それなりに慎重に対策を行なう必要があるから、多少時間がかかるのは致し方ないところであろう。
それはともかくとして、今回はインテルCPUのロードマップアップデートである。前回のロードマップはCannon Lakeが延期になったあたりまでだったので、そこからの3ヵ月のアップデートをまず説明しよう。
Apollo Lakeの後継にあたる
Gemini Lakeが発売
まずはGemini Lake。2018年にずれ込むと思ったのだが、2017年12月に発売となった。ラインナップはPentium Silverが2製品、Celeronが4製品で、半分がデスクトップ向け、半分がモバイル向けである。
ロードマップにはデスクトップ向けの3製品を入れてあるが、基本的には3次キャッシュのサイズが4MBになり、DDR4に正式対応したほか、ベースクロックは据え置きながらバーストクロックが若干あがった(例えばPentium J4205→Pentium J5005だと2.60GHz→2.8GHzになった)程度が主な違いである。
内蔵するGPUも基本的には一緒だ。型番はIntel HD Graphics 500シリーズからIntel HD 600シリーズになったが、EU数やGPUクロックも変わらないので、性能としてはほとんどど変わらないと思われる。
TDPも10Wに据え置きのままであり、プロセスが変わらず、TDPも内部アーキテクチャーも変わらないという状況でクロックを引き上げるのはきわめて困難な技であり、DDR4をサポートしたのが最大の違いというあたりだろう。
このGemini LakeシリーズはPentiumおよびCeleronの下位グレード向けに2018年一杯提供されるのは間違いない。2019年以降はそもそもこのラインナップを継続するのか否かのレベルで不明である。

この連載の記事
-
第821回
PC
IBMのMCAバスに対抗してAT互換機メーカー9社が共同で開発したEISA 消え去ったI/F史 -
第820回
PC
LEDが半導体の救世主に? チップレット同士の接続を電気信号から光信号へ ISSCC 2025詳報 -
第819回
PC
次期Core UltraシリーズのPanther Lakeは今年後半に量産開始 インテル CPUロードマップ -
第818回
PC
DDRを併用し低価格・低消費電力を実現したAIプロセッサー「SN40L」 ISSCC 2025詳報 -
第817回
PC
実現困難と思われていたUCIe互換のチップレット間インターコネクトをTSMCとAMDが共同で発表 ISSCC 2025詳報 -
第816回
PC
シリコンインターポーザーを使わない限界の信号速度にチャレンジしたIBMのTelum II ISSCC 2025詳報 -
第815回
デジタル
3次キャッシュがスリムになっていたZen 5、ISSCCで公開された詳報 AMD CPUロードマップ -
第814回
PC
インテルがチップレット接続の標準化を画策、小さなチップレットを多数つなげて性能向上を目指す インテル CPUロードマップ -
第813回
PC
Granite Rapid-DことXeon 6 SoCを12製品発表、HCCとXCCの2種類が存在する インテル CPUロードマップ -
第812回
PC
2倍の帯域をほぼ同等の電力で実現するTSMCのHPC向け次世代SoIC IEDM 2024レポート -
第811回
PC
Panther Lakeを2025年後半、Nova Lakeを2026年に投入 インテル CPUロードマップ - この連載の一覧へ