スマホ時代に腕時計なんて……と自分でも思う今日この頃だ。すべてを電子回路とネットワークだけで完璧にやってしまうスマートフォンのパワーは、歴史ある腕時計が何百年かの間に徐々に実現してきたことのほぼすべてをいとも簡単に実現してしまっている。
そして昨今は、腕に装着する“リモートワイヤレスディスプレー”のようなスマートウォッチなるモノも登場し、従来の腕時計のユニークな守備範囲はほぼ何もなくなってしまったような感じさえする。
ほんのもう少しウェアラブルテクノロジーが進化すれば、カメラも腕時計も地球上から姿を消すかも知れないが、まだしばらくの間はどちらも楽しめそうだ。
クォーツ腕時計が登場した時には手巻きやオートマチック腕時計の未来が危ぶまれたが、実際には手巻きやオートマチック腕時計は今も現存する。
スマートウォッチが登場した時にも、従来の腕時計の将来を危ぶむ声も一部にはあったが、実際には何の影響も与えていないどころか、スマートウォッチの存在意義に疑問を抱く人も多い。
しばらくはスマートウォッチは、現在の腕時計を置き換えるようなドラスティックで斬新なモノではなく、簡単に情報共有ができるスマートフォンの外部情報機器として、従来の腕時計のポジションに寄り添う新しく便利な道具としての存在が自然だろう。
スマートウォッチのように、スマートフォンやその背後にあるネットを有効に活用、共有すべく時代のすう勢として登場してきたテクノロジー腕時計とは別に、従来からあるゼンマイ系腕時計の中でも常に進化や工夫が行なわれているのが腕時計の楽しいところだ。
今回紹介する「オリエント万年カレンダー腕時計」(SEU07005BX。以下、万年カレンダー腕時計)はそんな伝統的なオートマチック腕時計が、思い切り背伸びしてアナログのマンスリーカレンダー機能を搭載した興味深いモデルだ。
カレンダーを内蔵した「万年カレンダー腕時計」
万年カレンダー腕時計はオリエントの得意とするメカであるが、一部の国内販売モデルを除いて、基本的には海外市場向けの製品だ。
筆者は、この万年カレンダー腕時計をアマゾンのタイムセールで9800円で購入した。翌日届いた万年カレンダー腕時計はかなり複雑な文字盤を持つ、ブラックカラーの腕時計だった。
海外向けとはいえ、日本語の保証書と取説が付属。取説は汎用のキャリバー(ムーブメントの形式番号)別に、大きな紙に極めて小さな文字で紙面いっぱいに記述されている。
残念ながら取説には今回の万年カレンダー腕時計のキャリバーである「EU07」に関しての記述はない。とは言っても、操作自体はそれほど複雑なものでもないので問題ないだろう。
万年カレンダー腕時計モデルは一般的なサイズの腕時計(直径38mm前後)と比較すると確実に一周りは大きなサイズだ。
実測した所、直径は約44mmあった。3時位置のリュウズの上下に2つの操作ボタンが配置されている。
2時位置のクリックボタンは万年カレンダーの設定ボタン。4時位置のサブリューズは、万年カレンダー腕時計に付属する回転計算尺の操作リューズだ。
万年カレンダー腕時計はゼンマイで駆動されるが、ゼンマイを巻く仕組みはオートマチックのみとなる。
常時、身に着けていれば問題ないが、デスクなどに1日以上置きっぱなしにしたりすると停止してしまう。指先でリュウズを回すことはできないので、ゼンマイを巻くには腕につけて振るしかない。リュウズ単体でカレンダー送りや時刻調整は可能だが、秒針は停止しない。
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