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最新パーツ性能チェック 第190回

GeForce TITANXとGTX980Ti、GTX980を圧倒する驚異のワットパフォーマンス

Pascalスゴすぎ!VRゲーミング世代の“新たな王”「GeForce GTX 1080」をベンチマーク

2016年05月17日 22時00分更新

文● 加藤勝明 編集●ジサトライッペイ

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【特徴3】電源設計の見直しでTDP180W! 外部電源は8ピン×1!

 GTX1080の何がすごいかと言えば、パフォーマンスはTITAN X越えを謳っているのに、TDPは180Wと低いこと。GTX980の165Wに比べると、SP数増や高クロック動作といったスペックアップのぶん増えているが、それでも200Wを超えていないというのは凄い話だ。電源ユニットの推奨出力は500Wと低いため、小型PCとの相性も抜群だ。

 さらに嬉しいことに外部電源はGTX980の6ピン×2構成から8ピン×1となった。配線の手間がひとつ減り、ケーブル回しがスッキリとする点は大歓迎すべきだろう。

 もちろん外部電源の実際の構成は各グラフィックボードメーカーに委ねられている。GTX1080も各メーカーから投入されるオーバークロック(OC)モデルが主力となるが、OCモデルは大電力確保のために8ピン×2や8ピン+6ピンといった構成が採用される。

TITAN X(上)とGTX1080(下)の外部電源の比較。8ピン1系統なので非常にスッキリしている。この写真だとGTX1080のバックプレートが非常に薄い(飛び出さない)設計ということもわかるはず。

GTX1080は電源回路の変換効率向上にも相当の設計リソースを割いている。GTX980の電源回路の電圧の振れ幅(図中左の2本の白線でかっこまれた領域)は209mVなのに対し、GTX1080(同様に緑の領域)は120mVにまで縮まった。変換効率を比較したのが図中右のグラフだ。低負荷から高負荷まで一様にGTX1080の変換効率がGTX980を上回っている。

【特徴4】“GPU Boost 3.0”で隠れていた性能を開放

 16nm FinFETプロセスを採用したGTX1080はブーストクロック1733MHz(実測値は後述)。1100~1200MHzのあたりで喘いでいた第2世代Maxwellのハイエンドモデルに比べると、驚異的にクロックを伸ばしているが、GTX1080はOCでさらに伸びるという。

 GTX1080のOCの可能性を引き出す鍵となるのはKepler(GTX600シリーズ)以降に搭載された機能“GPU Boost”だ。あるGPUコア電圧に対するクロックの対応(Voltage/Frequencyカーブ、ここでは略してVF曲線と呼ぶ)を考えた場合、これまではどの電圧においてもクロックの上げ幅は一定となっていた。しかし、NVIDIAによると、実際のOC限界よりもかなり下に設定されていることが多かったようだ。

 そこでGTX1080に搭載された“GPU Boost 3.0”では、VF曲線は常に一定幅ではなく、電圧ポイントごとに上げ幅を設定できるようになっている。特にコア電圧が低い場合に高クロック動作を期待できる、というものだ。さらにGPUのOCツール側でOC設定のスキャンも可能にする仕掛けも用意された。原稿執筆時においてはEVGAの『Precision X』(特別なβ版)のみが対応している状態だが、おそらく今後MSIの『Afterburner』などにも搭載されるだろう。

 ただこのOCスキャナ機能だが、現在UIをいろいろ揉んでいるようで、最終的な使い方はこうだ、と断言することはできない。というわけで現在はこんなものだ、という感じで見て頂きたい。

GPU Boost 2.0では、ブースト時のクロックの上げ幅(図中緑点線)は、GPUのコア電圧(白点線)と完全に連動していた。高負荷時(コア電圧が高い時)では理論上の限界値(白線)に近づいていくが、中途半端な負荷だと、クロックの伸びしろがかなり残されていた。

そこでGPU Boost 3.0では、各電圧ポイントにおけるクロックの上げ幅を可変とした。これによりコア電圧が低い時でもより性能を引き出すことが可能になる。

今回レビュワーに配布されたEVGA『Precision X』の特別ビルド版。従来と同様にPower Targetを上げ、コアクロックの増分値を指定する、という従来のOC手法はこのインターフェースで行なう。下の黄色い▲マークをクリックすると……(続く)

(続き)この画面になり、GPU Boost 3.0の真価はこのインターフェースで発揮される。「Basic」「Linear」「Manual」の3種類の設定方法がある。緑のラインを高く設定すればより高いクロックで、低く設定すればマイルドなOCとなる。青い部分をクリックして下げれば、ダウンクロックになるという仕掛けだ。

Basicモードは従来の手法と同じやり方。電圧が低くても高くても、一定のクロックを上乗せする。高クロックを目指そうとすると低電圧時も高めのクロック設定になるため、それが失敗の原因になるかもしれない。

Linerモードは文字通り上げ幅を直線的にするというもの。描き込みの多いゲームを使う場合、高負荷時は自然とコア電圧が高くなる。そういう場合にのみ高クロック設定にするのが左の図。1143mV時に325MHzクロックを上乗せするという意味になる。図とは逆に右下がりのVF曲線を指定することも可能だが、果たして意味があるかどうか……。

Manualモードは文字通り各電圧ポイント(横軸の1マス)ごとに手動でクロックの増分を指定するという手法。Linearではできないチューニングもできる。ただし現在のUIだと、クロックの増分は25MHz単位でしか増減できないため、限界を狙う感に乏しいのが残念だ。

Manualモードで「Run」をクリックすると自動OCモードとなる。FurMarkで高負荷をかけながら、電圧ポイントの下から上に向かってクロックの限界値を探っていく。今回試したビルドは攻めすぎてすぐフリーズする困ったちゃんだったが、実際はOCに失敗したり画面にゴミが出るとそれ以上クロックを上げない機能が実装されているようだ。

スペシャルイベントにおいてNVIDIAは近日発売のゲーム『Paragon』のキャラをGTX1080でリアルタイムレンダーするデモを行なった。その際GPUの実クロックは2114MHzにOCされ、しかもFounders EditionでもGPU温度は70度未満であることを強調。ただし重量級のゲームだとこう上手くはいかないだろう。

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