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最新パーツ性能チェック 第222回

GeForce GTX 1070 Tiは中身も性能もほぼGTX 1080だった

2017年11月02日 22時00分更新

文● 加藤勝明 編集●北村/ASCII編集部

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 2017年10月26日、NVIDIAはPascal世代の新たな準ハイエンドGPU「GeForce GTX 1070 Ti」を発表、日本国内では11月2日22時より販売が始まった。

GeForce GTX 1070 Ti

 型番から分かる通り、GTX 1070より上だが、GTX1080よりは下という位置付けの製品となる。なぜ今このゾーンに製品を投入したかといえば、ライバルAMDのVega 56の性能がGTX 1070をわずかに上回ったので、NVIDIAとしてはこれに対抗する必要があるためだ。

 GTX 1080はFounders Editionが普通に流通していたが、GTX 1070TiのFounders EditionはNVIDIAの直販サイト専売で、一般のパーツショップに出回るのはサードパーディー製のオリジナルクーラー搭載モデルとなる。

 今回はFounders Editionのほかに、Colorful製のオリジナルクーラー搭載モデルである「iGame GTX1070Ti Vulkan X」を試すチャンスに恵まれた。

GeForce GTX 1070TiのFounders Edition。いわゆるリファレンスモデルだ

Colorful製の「iGame GTX1070Ti Vulkan X」

 気になる価格はパフォーマンスを見てからにするとして、リファレンスデザインであるFounders Editionと強力なクーラーを備えたVulkan Xの差はどの程度か? さらにライバルRadeon RX Vega 56との性能差はどの程度なのか? などをチェックしてみたい。

GTX 1070Tiのクロックは横並び

 まずはGTX 1070/1080とGTX 1070Tiのスペックを比較してみよう。まず注目したいのはCUDAコア数がGTX 1070の1920基からGTX 1070Tiでは2432基に激増している点だ。

 Pascal世代のGP104コアはCUDAコア128基が集まったTPC(Texture Processor Cluster)を5基(合計640基)束ねるとミニGPUというべきGPC(Graphics Processing Cluster)となるが、そのGPCを4基束ねたものがGTX 1080、3基でGTX 1070となる。

 GTX 1070TiはGPCは4基だが、1基のGPCのみTPCが1つ無効化されている。ほぼ(95%くらい)GTX 1080といって差し支えない。

各ビデオカードの比較表
GPU GeForce GTX 1080 GeForce GTX 1070 Ti GeForce GTX 1070
アーキテクチャー GP104(Pascal) GP104(Pascal) GP104(Pascal)
製造プロセス 16nm FinFET 16nm FinFET 16nm FinFET
CUDAコア数 2560基 2432基 1920基
コアクロック 1607MHz 1607MHz 1506MHz
ブーストクロック 1733MHz 1683MHz 1683MHz
テクスチャーユニット数 160基 152基 120基
ROP数 64基 64基 64基
メモリークロック(相当) 10GHz 8GHz 8GHz
メモリタイプ GDDR5X GDDR5 GDDR5
メモリーバス幅 256bit 256bit 256bit
メモリー搭載量 8GB 8GB 8GB
TDP 180W 180W 150W
外部電源 8ピン 8ピン 8ピン

GTX 1070TiはTPC1基分の回路(赤枠部分)が無効化されている。GTX 1070の場合はGPC1基分(水色枠部分)が存在しない

 だがCUDAコア数以上に重要なのはGTX 1070TiではGPUのクロックがどのメーカーでもベースクロック1607MHz、ブーストクロック1683MHzという共通設定になっている点だ。CUDAコア数がほぼGTX 1080という設定になっているため、オーバークロック設定次第ではGTX 1070TiのOC版がGTX 1080の性能を超えてしまう可能性があるからだ。

 CUDAコア数とブーストクロックがほんのわずかに高いこと、VRAMの帯域(10Gbpsまたは11Gbps)が太いことの2点がGTX 1080(Founders Edition相当の製品の場合)の強みだが、GTX 1070Tiとスペックが近すぎるためメーカーによるファクトリーOCを許可するわけにはいかなかったのだろう。

 ただオーバークロック不許可といってもファクトリーOCだけの話で、ユーザーが手動でオーバークロックする、あるいはメーカーがワンタッチで“OCモードに切り替える”ような運用は許可されている。

 主なGTX 1070Ti搭載カードのスペックを下表にまとめた。これを見ると、定格クロックはどの製品も横並びだ。ASUSとGIGABYTEの製品のみOCモードの値が記載されていたが、いずれも同梱のお手軽OCツールを用いた際のクロックである。

各メーカー製品のクロック
メーカー名 製品名 定格 OCモード(ツール使用)
ベース
クロック
ブースト
クロック
ベース
クロック
ブースト
クロック
ASUS ROG-STRIX-GTX1070TI-A8G-GAMING 1607MHz 1683MHz 1683MHz 1759MHz
ASUS Turbo-GTX1070TI-8G 1607MHz 1683MHz 1645MHz 1721MHz
Colorful iGame GTX 1070Ti Vulkan X 1607MHz 1683MHz 記載なし 記載なし
GIGABYTE GeForce GTX 1070 Ti Gaming 8G 1607MHz 1683MHz 1632MHz 1721MHz
MSI GeForce GTX 1070 Ti Gaming 8G 1607MHz 1683MHz 記載なし 記載なし
MSI GeForce GTX 1070 Ti Titanium 8G 1607MHz 1683MHz 記載なし 記載なし
ZOTAC GeForce GTX 1070 Ti AMP Extreme 1607MHz 1683MHz 記載なし 記載なし
ZOTAC GeForce GTX 1070 Ti AMP Edition 1607MHz 1683MHz 記載なし 記載なし
ZOTAC GeForce GTX 1070 Ti Mini 1607MHz 1683MHz 記載なし 記載なし
Palit GeForce GTX 1070Ti JetStream 1607MHz 1683MHz 記載なし 記載なし
Palit GeForce GTX 1070 Ti Dual 1607MHz 1683MHz 記載なし 記載なし
玄人志向 GK-GTX170Ti-E8GB/White 1607MHz 1683MHz 記載なし 記載なし

「GPU-Z」でGTX 1070TiのFounders Edition(左)とColorful製のもの(右)の情報を拾ってみたところ(「Subvendor」欄の記述に注目)。Colorful製のカードは背面のスイッチをTurboモードにしているが、クロックは定格のままだ

GTX 1070TiのFounders Editionの外観はGTX 1070のそれと同じ。唯一ロゴだけが異なる

Founders Editionの外部電源は8ピン×1。ここもGTX 1070や1080の仕様と共通だ

Colorfulの「iGame GTX1070Ti Vulkan X」は、トリプルファンを搭載した大型クーラーを特徴とする。カード長は315mmとGTX 1080TiのOCモデル並だ

Colorful製GTX 1070Tiの外部電源は8ピン×2。クロックが各社横並びであっても、基板設計に関係する部分は各社のやり方でいいようだ

Founders Editionの映像出力端子はDisplayPort×3+HDMI+DVIだが、Colorful製のカードではHDMIとDisplayPortが2系統ずつ用意されている。またOCボタンも用意されているがGTX 1070Tiの制約からボタンを押してもOCされるわけではない

Colorful製GTX 1070Tiカードの背面。バックプレートでガッチリと覆うことでカードの歪みを防止している。カード後ろ側一部がアクリルカバーになっており、通電時はここがLEDでライトアップされる

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