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かくれんぼ上手なにゃんこも探せる!忘れ物防止ガジェットWistikiがすごい

メイド・イン・フランスの機能全部盛りなおしゃれIoT開発スタートアップに聞いた

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将来的には、他のガジェットとのGPS連携もアリ!?

――日本ではすでに『MAMORIO』や『TrackerPad』、『trakkie』など、アイテムを探すタイプのガジェットが数多くあり、ライバルの多い分野ですが、Wistikiならではの強みはなんでしょうか。

 Wistiki by Starckの強みは、この格段に改善されたスペックと、フィリップ・スタルクによるデザインです。開発から製造・量産までをすべてフランスで行なっているというのも特長です。

 また、ソフト面では、クラウドGPSを採用しています。Bluetooth通信では有効範囲が短いと思われがちですが、Wistikiのアプリをインストールしたデバイスが自動的に、といってももちろん匿名で、近くにあるWistikiの位置情報を更新し続けることで、Wistikiが持ち主から離れてしまった場合でも正確な位置がより特定しやすくなります。

 アプリがバックグラウンド状態になっていてもGPS情報を更新し続けるというのもWistikiの特徴と言えます。Bluetooth通信距離が大きいので、より広い範囲にあるWistikiをカバーできます。また、消費バッテリーを抑えつつ、常にGPS情報を更新することで、持ち物のより正確な位置を調べられるのもポイントですね。

 といっても、クラウドGPSが実力を発揮するには、アプリをインストールしたデバイスが増えることが必須です。そのため、Wistikiでは、他社アプリと連携してクラウドGPSの精度を高めることを視野に入れて、現在交渉を進めています。

Wistikiの使用例。専用アプリでは犬の鳴き声ぐらいの大きさである90デシベルの音を鳴らせるので、隣室からでもじゅうぶん聞こえそうだ。

メイド・イン・フランスのこだわり

――Wistikiはデザインもかなり凝っていますが、開発においてもっともコストがかかった部分はどこでしょうか。

 それは電子回路の設計ですね。部品自体は比較的安価ですが、製品をできるだけ小さくするための加工に費用がかかりました。

 素材についてもデザイナーのこだわりもあり、たとえば本体ケースに使用しているのは、一流ブランドの香水ボトルのキャップなどにも採用されている高価なブラスチックです。素材自体は高価ですが、こちらの加工にはそんなに手間はかかっていません。

カラーは4色の『ヴォワラ!』外観。いずれも、銀色の本体ケースに、香水のボトルをイメージしたというカラフルなプラスチックの組み合わせが印象的だ。

――Wistikiの工場はどのような場所にあるのでしょうか。

 電子回路の工場は、ピレネー山脈と大西洋に面した太陽と海の町、フランス南部のバイヨンヌの近郊にあります。電子回路系の製造ではヨーロッパを代表する工場で、僕たちは信頼をおいています。

 そして、プラスチックのケースは、フランス北部のソム地方にある工場で作っています。レンガ造りの重厚な建物の多い街です。ここの工場は自動車などさまざまな革新的な製品のプラスチック部品の製造を行なっており、品質の高さで知られています。

さまざまな工具やパーツが置かれているWistikiのオフィス。

――すべて「メイド・イン・フランス」ならではのこだわりですね。では、今回日本でクラウドファンディングを始めたきっかけはなんでしょうか。

 Wistiki社はクラウドファンディングで始まったと言っても過言ではありません。2013年にフランスで初めて行なったクラウドファンディングでの成果が、今のWistikiの原点にあります。

 クラウドファンディングでは、取り扱ってくれる代理店や実店舗を決定する前に、将来のユーザーとなる一般の方々の意見を聞き、双方向のコミュニケーションがとれる貴重な場です。実物がない製品の商品化を積極的に応援してくれる方々との出会いは、製品を完成させる過程で最後のひと押しの大きなエネルギーになります。それは日本の市場でも同様です。

 日本の支援者の方々から寄せられたコメントを見ると、海外ですでに成功例があり、安心して支援できること以外にも、フランス製であることやフィリップ・スタルクのデザインなどが人気になっているようです。

 また、Bluetoothを利用したトラッカーがあるのは事実ですが、あまりまだ知られていないという印象があります。「こんな製品を待ってました!」というコメントも、とても多くいただいています。

日本のクラウドファンディングサイト『MotionGallery』では、開始からわずか8日で目標金額を達成。現在は日本のクラウドファンディング最高額3700万円を超える4000万円を目指している。

ペットだけでなくヤギ探しにも有効!?

――以前のシリーズにおいて、ユーザーはどのような使い方をしているでしょうか。予想していなかったようなユニークな使用例があればぜひ教えてください。

 Wistikiの使い道のトップ3は、鍵、財布、ペットです。また、よく聞く意見としては、車の中に置いておくことで、広い駐車場でも簡単に自分の車を見つけられるのが便利だそうです。ユニークな例としては、畜産農家の方が、いつもいなくなるヤギに付けているという話もあります(笑)。

丈夫なワイヤーがついた『アッハ!』はペットの首輪向き。アプリで現在地がわかるので、はぐれても安心だ。

――犬や猫などのペットだけでなく、家畜にも活用できるということですね。今後は、どのような製品を開発する予定でしょうか。すでに何かのラインが動いているのでしょうか。

 フランスの大手通信会社ブイグ・テレコムと戦略提携しており、同社が手掛ける“LoRa(LongRange)”という通信プロトコルを利用したコンシューマー製品の開発も進めています。日本でこのテクノロジーが普及するかはまだ分かりませんが、ヨーロッパでは導入が進んており、2016年中にはフランス全域をカバーするネットワークが構築される計画です。

――ありがとうございました。

サイフに適したカードタイプなどバリエーションが豊富なのも特徴。

 日本では3月から始まったWistikiのクラウドファンディング活動は現在、4000万円の支援を目指している。支援金額は、今夏発売の『ヴォワラ!』1個で3900円から。5月2日まで受け付けているので、興味のある人は参加してみるとよいだろう。

 筆者の家では、財布と鍵、名刺入れなどにWistikiを忍ばせる予定だ。また、子どものランドセルなど鍵といっしょにもつけるとよさそうだ。ちなみに、肝心のスマホをなくしてしまったときは、Wistikiからスマホ本体を鳴らす逆発信もできるのでご安心を。

Wistikiと戯れる猫のWistiki。

■関連サイト
Wistiki(MotionGallery)

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