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ASCII STARTUP 今週のイチオシ! 第17回

建築業界のイノベーションには”熱意ある素人”が最適なワケ

経験者ゼロからの建築業界革新 東京五輪後に向けて動くシェルフィー

2016年04月01日 07時00分更新

文● 松本佳代子 聞き手・編集●北島幹雄/大江戸スタートアップ 撮影●曽根田 元

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クライアントと業者の関係をよりスッキリさせるために

2015年12月に竣工した株式会社セゾンが施工を行ったフラワーショップ

 マッチングでのクオリティを求めた結果、現在のSHELFYの問い合わせからのコンバージョンは以前の1割未満から3割に上がっている。月の問い合わせは40件ほどだ。

 「まだ3割でも低いと思っていて、できれば6~7割にしたい。SHELFYのサービスはクライアントの立場から、新規業者を探すプラットフォーム。もし2店舗目以降であればクライアントには既存業者がいて、今まで頼んでいた既存業者と新規業者を比べることになる。このとき、新規業者にとって不利なのは、コミュニケーションのスムーズさ。1つ1つ説明をしないと通じない。ここには、言った言わないの問題発生も含まれてしまう。一方で既存業者は、その点がスムーズに進められる。ここでムダに時間がかかると、結局は新規業者に頼みたくても妥協した既存業者に依頼することになってしまう」

 このようなことがないよう、十分なコミュニケーションが取れるようにSHELFYが間に入ることが付加価値となる。

 SHELFYのプラットフォーム上では、進行中の状況を確認できるダッシュボード機能を備えており、必要な資料や確認事項などを1つずつチェックする項目がある。これに合わせて進めていけば、コミュニケーション不足による問題が起きなくなる。

 「たとえば今後、追加しようと思っている機能は、クライアントの代表承認の項目。代表の一声でそれまで進んでいたことが反故になることもあるので、随時チェックを促していく工夫が必要で、それは機能にも含まれるべき」

 では今後、SHELFYはどんなサービスになっていくのか。

 「SHELFYのシステム上で建築業界の需要と供給が成り立つように変えていく。当たり前のように業者は仕事を探して、クライアントは仕事を発注するという世の中で、3年後には実現を目指す」

 利用料としては、マッチングしたらそのつど手数料が発生する成果報酬の形もあるが、SHELFYでは月額固定の形を取る。成果報酬型では、中間搾取をなくしたいといった当初の志が薄まるためだ。

 「SHELFYへの報酬は固定の基本利用料として、広く気軽に使ってもらえる仕組みにしている。さらに業者が求めているものに対して応えたら、そちらをハイクオリティなプランにするという縦展開も考えられる。たとえば建築業界は人材不足になると分かっているので、効率よく働くことをサポートするようなシステム作りは必要でそれを特別プランのツールとして提供できる」

 ベンチャーオフィスの「ぼったくり」もなくしたい

 さらにシェルフィーでは、コンサルタントのような立場になることも考えている。外から参入したからこそ、建築業界でのクライアントと業者の関係が見えてくるという。

 「お互いに利害関係にいるので、効率化するには第三者が何かしなければ絶対に変わらない。現状で起きている問題点も、関係するクライアント・管理業者・現場施工会社の三者がそれぞれ加害者でもあり被害者でもある。例えば、やむを得ない状況で工事費を上げなければならない場合もあるが、一方で業者の都合で値段が上がる場合もある。クライアントにとっては、どちらなのか見極めができずに疑心暗鬼な状態に陥ってしまう。そのような駆け引きせざるを得ない状況では、お互いの納得感は下がってしまう。だからこそ、第三者が冷静に状況を説明できれば万事解決となる。SHELFYはそういう存在になりたいと思う」

 余談ではあるが、オフィスの場合は特に業者によって「ぼったくられる」可能性もあるという。とくにベンチャー企業のオフィスは狙われやすい。

 「同じベンチャー企業を経営している者としては悔しいので、ぜひ知ってもらいたい。店舗の場合は、次の仕事にすぐつながる可能性が高いので下手なことができないが、オフィスは基本、ワンショットなのでここで取れるだけ取ろうとなりがち。このような場合こそ、SHELFYが入ることで抑止力となる。オフィスに関しては1回きりかもしれないが、SHELFYから仕事を受けることは続くため、業者は下手なことをできない。実際、オフィスでの問い合わせは日々増加している」

 既存の産業・市場をいかに変えるかというのはスタートアップならではの醍醐味だ。だが、そこには当然摩擦も多く、これまで建築業界に挑戦してきた”先人たちの爪痕”も多いようだ。既存の仕組みを崩壊させる”ディスラプト”ではなく、いかに”共創”するか。同様の考えで挑むスタートアップは多いが、シェルフィーもその1つといえる。これまで不変だった業界の攻め方は、遠回りのほうが果たして早いか。ロングテールな構造をもつ建築業界で、同社は丁寧にコストを支払いつつ、継続的な取り組みを行っている。

 サービスが軌道に乗ったら店舗やオフィスだけでなく、公共施設や病院も扱っていくなど、可能性が広がっていく。シェルフィーは業界の内外を見ながら、着実にイノベーションを進めていく。

●シェルフィー株式会社
2014年6月に建築業界に健全な競争環境を生み出そうと起業。現在の月間利用会社数はおよそ3000社。
初回の調達金額は数千万円規模。2回目の増資も検討中で、目指すは2020年の上場。
2016年4月時点でメンバーは20名。半年間で2倍に増員し、現在も採用を強化中。

■関連サイト
シェルフィー株式会社

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