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ASCII STARTUP 今週のイチオシ!第17回

建築業界のイノベーションには”熱意ある素人”が最適なワケ

経験者ゼロからの建築業界革新 東京五輪後に向けて動くシェルフィー

2016年04月01日 07時00分更新

文● 松本佳代子 聞き手・編集●北島幹雄/大江戸スタートアップ 撮影●曽根田 元

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 日本で2番目に巨大な市場規模を誇る建築業界。2015年での国内の建築にかかわる金額は約48兆円となっている。

 この分野で、デザインや施工を依頼したいクライアントと建築業者を結びつけるBtoBのマッチングウェブサービスを行っているのが『SHELFY(シェルフィー)』だ。現在は、店舗やオフィスを作りたいクライアントに業者を紹介するサービスが主となっている。

 創業から2年に満たないスタートアップが、参入障壁が高くレガシーな建築業界へどのように“挑戦”しているのか、シェルフィー株式会社代表取締役社長の呂俊輝(ろい・しゅんき)氏に聞いてみた。

シェルフィーの呂俊輝代表取締役社長

カオス中のカオスだからこそ、
プラットフォームのサービスが必要

 48兆円となる建築業界の内訳は、土木、住宅、商業の3分野で、シェルフィーが扱うのは商業分野となる。呂代表によれば、業界の中でも”商業”はまだまだ情報の整理ができていないという。「土木は政府管轄となるため、業者のランク付けや情報整理が行われている。一方の住宅は、日本中で展開している大手デベロッパーがあるうえ住宅の構造もシンプルなため、平均的な価格や資材の情報もすでに存在している。では商業分野の情報はどうかといえば、カオス中のカオス。ドアノブ1つにしろ、住宅で使われるのはせいぜい数十種類くらいなのが、店舗で使われるものを考えただけでも数百種類もある。しかも大手2社が市場の10%前後しか占めていないという超ロングテールの構造をもっている」と呂代表は語る。

 SHELFYでのマッチングサービス誕生の背景については、「情報が煩雑でカオスとなっている業界だからこそ、プラットフォームのウェブサービスがいつか生まれ、求められる」と呂代表は考える。

 今現在の建築業界での商業分野は、2020年の東京五輪に向けて大いに盛り上がっている。付随してくるのは、商業施設やオフィス、倉庫、宿泊施設、公共施設などで、話題となった国立競技場もここに入る。ただ、オリンピック特需だけでは2019年ごろに市場がピークを迎えたあと、その反動で後退していくことが予測されている。「そこで破綻する前に、建築業界をウェブで変えられるのではないかと起業した。ずっとイノベーションが起きてこなかった、大きい市場で挑戦したいという気持ちがある」と呂代表は語る。

イノベーションは業者のリソース不足解消から

 だが、これまでにも同様に建築業界でのイノベーションを起こそうとしてきた起業家たちは数多くいた。そのような先達を見たうえで、呂代表はどのように業界を分析していったのか。

 「まずは、米国で建築業界のウェブマッチングサービスがどう受け入れられたかという点が重要。そして、米国と日本で起きたことの違いに注目した。すでに米国では、『Houzz』という世界最大の住宅リフォームのコミュニティサイトが普及しており、2015年4月には日本でもサービスを開始している」(呂代表)

世界的に支持されているHouzz

 Houzzは、クライアントが業者をウェブプラットホーム上で見比べることができ、好みに合った住宅やリフォームなどを簡単に発注できるサービスだ。これに対して、呂代表は日米での微妙な違いを強調する。

 「米国の需要ではHouzzがぴったりだが、日本では今後、業者の方が不足していく。需要と供給では、発注を行うクライアントよりも業者のパワーバランスが強くなる見込みで、かつ業者側自体もリソース不足で困っている状況。そのため、今の日本でイノベーションを起こすのなら業者のリソース不足を解消する方向にシフトするべき」(呂代表)

 SHELFYでの登録業者にもそれは表れている。同社は、独自の審査を通過した施工管理会社だけを登録しており、登録企業は現在約280社。だが、その通過率は狭き門で7%だという。

 「クライアントのことを考えれば業者数は多い方がいいが、数だけを重要視しているわけではなく、実力も重要。たとえば登録業者の選定にあたって、会社規模や実績はもちろん見ているが、創業したてであれば実績がないのが普通だが、SHELFYでは新しい業者が直前まで働いていたデザイン事務所や施工会社など前職での実績も入念に調べている。新進気鋭の若い業者が多くいるのがSHELFYの特徴で、実力があるにもかかわらず実績がないために費用対効果が高い。実力がわかっているなら、クライアントとしては最も頼みたい業者となる」

 マッチングサービスで求められる価格面での中間搾取をなくす一方で、やり直しが容易ではない建築分野だからこそ、クオリティをいかに担保するかが重要となる。だがこれを実際に行うとなると、単純なITサービスだけ、というわけにはいかない。

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