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ASCII STARTUP 今週のイチオシ! 第17回

建築業界のイノベーションには”熱意ある素人”が最適なワケ

経験者ゼロからの建築業界革新 東京五輪後に向けて動くシェルフィー

2016年04月01日 07時00分更新

文● 松本佳代子 聞き手・編集●北島幹雄/大江戸スタートアップ 撮影●曽根田 元

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必要なのは業界へのリスペクトと土壌形成

 厳しい審査基準など”実績”へのこだわりは、シェルフィーが呂代表にとって2度目の起業という理由にもよっている。呂代表は現在28歳で、学生時代にJapanManga(現ヒトクセ)という漫画の翻訳・電子アプリでの起業を経験している。

 「前回の起業で、ニーズがあってもそれが論理的に進むとは限らないとわかった。漫画をアプリ化する事業は、今では当たり前になっているが、それに対して抵抗感のある人もいた。結局一番のキーポイントは何かといえば、その業界に対してのリスペクトの心。シェルフィー社内では、旧態依然とした業界に対して、直接の批判につながるような表現で話してはいけないと伝えている。どんなに正しいことを言ったとしても、言い方を間違えると反感を買うだけなのを見てきた」(呂代表)

 呂代表は、あこがれの起業家の一人に堀江貴文氏を挙げる。堀江氏が実業家として大きく注目を集めていた時期に高校生だった呂代表は、建築というレガシーな業界へ挑むからこそ、あこがれていたホリエモンを反面教師に学ぶ。

 「普段からITに接している僕らのツールを使った方が明らかに効率的になるとしても、『あなたたちのやっていることは非効率なので、これを使った方がいい』という訴求では『うるせぇ、この若者が』となってしまう」

 呂代表は「建築業界にイノベーションを起こしたい」と告げたが、それはあくまでも業界の習慣を守ったうえでのイノベーションが大切だとしている。古い業界ゆえに、理想とするイノベーション達成までにはステップが必要となる。

 「仮に、その業界にとって一番効率的な方法が4段階ほど先の地点にあるとする。現在のやり方を1として、いきなり最終の4段階目を提案したら分かってもらえない。そのため1をある程度守りつつブラッシュアップした2段階目を提案し、次に3段階目、最後にやっと本当に狙っているところへ進むというステップが必要となる。もちろんコストや時間はかかるが、市場の大きさを考えると丁寧にやるべき。いまは最初の段階なので、まだまだこれから」

 呂代表はこれを人材業界でたとえる。日本で最初に人材業界のシステムを構築したのはリクルートだ。対して最近では、Wantedlyのような仕事や人脈を作るビジネスSNSが完全に自動化したシステムを提供しはじめている。

 「思うのは、いきなりWantedlyのようなサービスがあったとしてそれが普及するのかということ。リクルートが“高単価高付加価値”の市場を作って、そのリクルートの簡易版という形でWantedlyが受け入れやすかった土壌ができていた。日本の建築業界でいえば、まだ人材におけるリクルートが立ち上がる前のタイミングにある。そもそもリクルートも当初は、企業と求職者の両方からニーズを聞いて、マッチングをしようと繰り返してきた。いまは同じように市場を作るタイミングと考え、SHELFYでは業者とクライアントの両社を何度も訪問して、徹底的にニーズを聞き、マッチングのクオリティを最重要視している」

熱意のある素人がイノベーションを起こす

 現在、国に許認可をもらっている建築施工会社は約48万社。その中で、SHELFYが登録している設計と施工管理会社は合わせて約280社、実際に作業を行う専門業者となる工務店は約600社だ。

SHELFYでの利用の流れ。

 クライアントからの問い合わせには一度電話をしたうえで、直接訪問してニーズをヒアリングしている。シェルフィーでは案件対応の部門がこれを行い、一方で業者に対しては、営業部門がアプローチをしている。ITサービス企業だが、実際ITとはかけ離れたところに現在は多大なリリースを割いている。大切にしているのは、建築業界の中でSHELFYがITの力で貢献したいということをわかってもらうことだ。

 「もっと集めようとすれば集められるとは思うが、控えめにやっている。数よりも1社ごとのニーズのヒアリングを大切にしてきた。スタートアップのため社員数がいるわけではないので、これ以上増やすと1社ごとの声が薄くなってしまう。いまは建築市場への理解とウェブが介在する仕組みの浸透に投資している段階」

 そもそもシェルフィーでは当初、呂代表だけでなく、会社設立の初期メンバーには建築業界の経験者が1人もいなかった。

 「業界に貢献したい熱意がきちんと伝われば、『お前ら何も知らないから教えてやる』とアドバイスをいただきやすい。また、下手に知っているメンバーがいると、その人個人の情報や認識に偏りがちになるため、逆にマイナスになる。今では業界出身者もたくさんいるが、設立当初は”業界に貢献したい熱意のある素人”で固めた方が、イノベーションを起こすチームとしては最適だと考えた」

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