このページの本文へ

四本淑三の「ミュージック・ギークス!」 第150回

ノリタケ伊勢電子の制作秘話を聞いた

真空管「Nutube」が単体販売へ、だが、実装製品の発売は?

2016年01月23日 12時00分更新

文● 四本淑三

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

あの名球「WE300B」に似ているという特性

 今回のニュースはNutube 6P1のデータシートを公開し、単体のパーツとしての販売が決まったことだろう。3月からサンプルの受付を開始するという。となると気になるのが、単体の真空管としての性能だ。

 データシートのダウンロードやサンプルの問合せは、Nutubeの専用サイトから。

―― 単体のパーツで使う場合のコスト的なメリットはありますか?

遠山 Nutubeがすごく安いかというと、そういうわけではないです。でも日頃、真空管を買ったら壊れていたとか、使っているうちに熱が出るとか、いろいろあるんですけど、さすがにノリタケさんで造っているメイドインジャパンの製品ですので、そういう心配はありません。

―― いい特性が出ているということですが、ウエスタン・エレクトリックの300Bに近いという話を聞いています。

三枝 真空管としての形状はまったく違うし、目的も違いますよね。でも、特性の曲線はかなり似ています。

遠山 同じ三極管でも、普通は電圧が高くなってくると、I-V曲線(電流-電圧特性)は寝ていっちゃうんですが、それが等間隔に並んでいる。等間隔に並ぶということはリニアリティーに優れているということです。ただ、特性は似ているんですが、Nutubeはプリ管なので、その特性を活かしながら出力を出す工夫がいります。

今回初めて試作が公開されたNutubeを使ったヘッドフォンアンプ。パワー部には、VOXのギターアンプにも使われているバルブリアクターを応用した技術が使われているといい、Nutubeを通った回路と通らない回路を切り替えて試せる

―― Nutubeはパワー管にはならないということですか?

遠山 Nutubeを開発した意図は低消費電力で、熱も発生しない、それを活かせるところでやろうということなので。結局、電流を流さないとパワーは出ないですから。将来的には大きく構造を変えて、低消費電力のパワー管ができるかもしれませんが。

三枝 それに熱がどうしてもね。電圧や電流の絶対的な値が違いますから。なにか工夫して、300Bの差し替えモジュールのようなものは作れるかもしれないですけど。

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン