この記事はコルグとノリタケ伊勢電子が共同開発した新型真空管「Nutube」についての開発インタビュー記事3回目です。これまでの記事は下からご覧ください。
1回目:「真空管はいいことない」―それでも「Nutube」が出た理由
2回目:Nutube開発者はなぜ真空管造りに蛍光表示管を選んだのか
再発明された真空管「Nutube」の開発者インタビュー3回目。
ノリタケ伊勢電子を驚かせたNutubeの試作品にせまる
Nutubeのヒントは、コルグの三枝監査役が少年時代に秋葉原で見つけた「マジックアイ」にあった。1930年代に登場したこの緑色に蛍光する素子は、主にラジオの同調をモニターするために使われていたが、当時それを見た三枝少年は「構造は真空管と同じなので、信号の増幅もできるのではないか?」と考えた。そして実際にそれを試して、増幅作用があることを確認したという。
そうした経験から三枝さんは新しい真空管を開発するにあたり、日本で発明されたVFD(蛍光表示管)に目をつけた。蛍光する仕組みはマジックアイに似ている。よく見ると構造も真空管と同じだ。ならば、これで増幅素子が作れるのではないか、と。
しかしノリタケ伊勢電子の開発陣は、コルグ側の提案に当初は半信半疑だったという。そこでコルグ側は、Nutubeのプロトタイプを使ってギター用のプリアンプを試作し、ミュージシャンと共にノリタケ伊勢電子の工場まで出向いて、実際に鳴る様子をプレゼンし、本当に動作することを理解してもらえたという。
今回はその試作品を設計したコルグの若手エンジニア2人を中心に、試作品の概略とNutubeについて聞いている。
(次ページでは、「エンジニアは真空管を作るときにどう思ったのか」)

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