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スクランブル交差点のビッグデータ分析も 東急沿線でサービス展開できるスタートアップが決定

 2015年11月11日、東急アクセラレートプログラムの最終審査会を開催が開催された。鉄道や店舗など豊富なリソースをもつ東急グループが、スタートアップ企業を対象に業務提携も視野に入れたビジネスプランコンテストだ。117社の応募の中から、提携事業内容により絞られた8社が登壇し、プレゼンテーションで競った。通常のピッチイベントに比べ、東急グループの各インフラ、サービスとの連携を念頭に置いているだけあり、スタートアップの自社サービスの特徴と、どの事業領域で、どのようなサービスを展開できるか具体的な内容が多く、非常にわかりやすいプレゼンとなっていたのが印象的だった。

 結果、最優秀賞にあたる東急賞に選ばれたのはABEJA(アベジャ)、人工知能で街を最適化するプラットフォームを提供し、スマートシティーの実現を目指す。

 街や店舗に設置したカメラで人の流れをリアルタイムに分析して、未来の行動を予測し店舗内マーケティング支援を行なう。具体的には百貨店内の4階がすいていれば、自動的に街中のサイネージをコントロールして誘導するなどといったことが可能になる。

 またABEJAは店舗内の行動データの取得、AIによるマーケティング支援システム自体を初期費用なし、月額1万5000円からという低価格で提供している。将来的には世界最大の通行量をほこる“渋谷スクランブル交差点”を分析してみたいと意気込みを見せる。どんな結果が得られるか、楽しみだ。

 続く渋谷賞にはアクアビットスパイラルズが選ばれた。モノと場所をネットへつなぐIoT情報配信プラットフォームを提案。街中にスマホで情報を読みとり、コンテンツへつなぐ、NFCのスマートプレートを設置。アプリは不要でブラウザーから各コンテンツへとつなぐ、バス停でバスの運行情報を表示したり、街中の壁に商品情報を貼り、そこからダイレクトでeコマースへつなぐ壁のショウルーム化など、街全体でコネクテッドシティ東急を実現する。

 二子(玉川)賞は、バイオマスの再生エネルギーによる循環型環境社会を東急沿線内に築く提案をしたサステイナブルエネルギー開発社が受賞。発電設備を高架下に設置、東急ストアで事業ごみとして廃棄される生ごみを買い取り、バイオマス発電で電気を生産する。さらには発電により、コンテナ型植物工場に電気を供給して、その野菜を東急ストアで販売するという、循環型の事業構想をもつ。

 そのほかにも指紋の生体認証で、インバウンド向けにカード、現金が不要なスマートシティーを実現しようとする“Liquid”や、沿線の中高生へ職業教育のプラットフォームをつくろうと提案した“センジュ”など実現すればおもしろそうな事業構想も上がっていた。今回のプログラムは、アーリーステージのベンチャーを対象に、事業領域は生活サービス、都市開発、交通と東急沿線の顧客が享受できるサービスから対象に選ばれた。プレゼンの具体性も高く、実現可能性は考慮しつつも「すぐにやればいいのは?」「どれも実現するとおもしろい」などの声も上がるほどだった。

 今回、最終審査会で選ばれた3社は、東急の駅や路線、商業施設、東急の各サービスとともに実地のテストマーケティングが行なえ、その結果により業務提携などが検討される。

■関連サイト
東急アクセラレートプログラム

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