マルチタッチ関連はあと一歩VAIOに頑張ってもらいたい
一番期待していたマルチタッチジェスチャー操作だが、残念ながら今のところWindows 8と変わらずで「OS X並み」とはいかない。VAIOがアナウンスしているWindows10 環境での「機種固有の制限事項」に、トラックパットでのエッジスワイプや3本指ジェスチャーに関して機能制限が出ているあたり、ジェスチャー入力の対応は開発難易度が高いようだ。だが、タッチジェスチャー操作の有無で操作の快適性が圧倒的に変わることはアップルがOS Xで既に証明しているので、ここはファームウェアのアップデートなどでVAIOにぜひ頑張ってもらいたい。
また、ディスプレーでのマルチタッチ操作が、ピンチによる拡大縮小のみというのも残念ポイントだ。Win + Ctrl + 左右キーで仮想デスクトップ間の移動ができるのもWindows 10における新機能のひとつだが、ディスプレータッチで仮想デスクトップを移動しようとすると、画面左をスワイプしてタスクビューを呼び出し、そこから別のデスクトップを選択するという「2アクション」が必要となる。タブレットモード時はそもそもデスクトップという概念が無くなるのだが、PCモード時のディスプレータッチは驚くほど快適なことを、筆者はWindows 8.1 Update時のレビューで体験している。タブレット形状でPCモードを使うこともあるので、ここはぜひマルチタッチで1アクションにしてもらいたいところである。
また、VAIO Zといえば付属のペンが高性能なことも見逃せないポイントだ。サクッと試してみたところ、ペン操作もWindows 8.1 Updateよりスムーズになった印象を受けた。特にプリインストールのOneNoteで、操作がよりヌルヌルに感じたのだが、ところがこのOneNoteにはひとつ、指のピンチ操作による拡大・縮小が効かないというトラブルが見られた。これが先に指摘した「一部の例外」だ。ファームウェアの問題か、それともOneNote自体の問題かは不明だが、いちいちメニューバーから拡大縮小を選ばなければならないようではとても不便だ。ここも何とか頑張って改善してもらいたいところである。
総括:あえてWindows 8.1 Updateを使い続ける理由が見つからない、快適なマッチング
まだ煮詰められるポイントはあるが、先にも述べた通り、長期レビュー中に感じていた「OSレベルでココを改善してくれたら」というストレスが、今回Windows 10を試用してみると大幅に改善されたという印象を受けた。現状でもなかなか使い勝手は良いが、マルチタッチ周りの操作がファームウェアで強化されれば、これは極めて快適な環境になりそうな予感がする。Windows 10移行ツールのリリースが待ち遠しくはあるが、しかし現状がこれだけ快適ならば、このままメディア作成ツールでのアップグレード環境を使い続けるのも決して悪い選択ではなさそうである(もちろんサポート対象外ではあるが)。
特殊な業務用環境の対応待ちと言った問題があれば話は別だが、Windows 10移行ツールによる正式サポートが始まれば、少なくともWindows 8.1 Updateを無理に使い続ける理由は見当たらないというのが筆者の結論だ。細かな問題が解決されていくこによって「ゼットにテンでタッチがハカドる」だろう。
天野 透(あまの とおる)
1987年生まれ、神戸出身の若手ライター。某家電量販店で販売員を経験した後に、一念発起して都内の大学へ進学。大学院で文学を学びながら、二足のわらじでライター稼業を続ける毎日。信念は「高度な社会に物語は不可欠である」。何事も徹底的に楽しみ尽くしたい、凝り性な人間。
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