ネットの流儀が現実に逆流し、人やサービスに影響を与えている
ビジネスにもなってる再注目の「ポスト・インターネット」ってなに?
2015年08月11日 10時00分更新
1990年代初頭の日本におけるインターネット黎明期、物心ついた頃からインターネットに触れて育つ「デジタル・ネイティブ」なる世代がいずれ台頭し、既存の常識や価値を根底から覆してくれるに違いない……という強い確信というか、淡い期待というか、妙な妄想がまことしやかに語られていた時期がある。
当時、インターネットの衝撃とともに広告代理店を辞めてPC/IT系の出版社(まぁ、アスキーなんですけどね)に転職した私も、かなり真剣にそう思っていた。
デジタル・ネイティブに対する誤解
確かに、当時のわれわれが勝手に思い描いたイメージをわりと忠実に再現してくれた創造性あふれる若い世代も少なくない。が、複数の大学(しかも芸術系)でいまどきの学生たちと接していると、デジタル・ネイティブにはあとほかに2種類のタイプが存在して、むしろその2タイプのほうが大勢を占めているように思われる。
インターネット創世記の夢を体現したかのような前述の才気煥発なタイプを1とすると、2がデジタルテクノロジー、とりわけインターネットに対して嫌悪感とはいかないまでも、かなり強い警戒心を抱いているタイプ。3はもはや自分が使っているデバイスやサービスがデジタル技術の賜物であるということも意識していなければ、それらがインターネットに接続されていることすら自覚していないタイプである。
驚くべきは3だろう。実際、某大学のある授業でごくごく普通の女子学生が「私、デジタルとかとまったく無縁の生活を送ってるんで……」と言うので、「ええっ、だって、スマホ使うでしょ? 飛行機とか新幹線とかコンサートとか、チケット取るときネットで予約するよね?」と返したところ、「よくわかりません……」と困惑されたことがある。
そのとき、若干の狼狽と軽度のめまいを感じながら「これが本当のデジタル・ネイティブかもしれない……」と思ったことを強く覚えている。
(次ページでは、「ポスト・インターネットとはなんなのか」)
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