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マイクロソフト・トゥディ 第152回

“顔の見える”日本マイクロソフトを作った樋口泰行 代表執行役会長

2015年07月10日 11時00分更新

文● 大河原克行、編集●ハイサイ比嘉/ASCII.jp

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 2015年7月1日で日本マイクロソフト株式会社の代表執行役社長に平野拓也氏が就任したのに伴い、前代表執行役社長の樋口泰行氏は、代表執行役会長に就任した。2008年4月の社長就任以来、7年3カ月に渡る在任期間中、日本マイクロソフトへの社名変更、品川への本社移転のほか、成長路線へと舵を切り、2014年度は、同社創業以来、過去最高の業績を達成してみせた。樋口氏は、7年3カ月の社長在任期間にどんな成果を成し遂げたのか。

 樋口氏がマイクロソフト(現・日本マイクロソフト)に入社したのは、2007年3月のことだ。

 ダイエーの代表取締役社長から転身。それまでの経験をみると、アップルやボストンコンサルティンググループに在籍。さらには、日本ヒューレット・パッカードでは45歳で社長に就任するなど、IT業界での経験の方が長い。むしろ、ダイエーへの社長就任の方が異例の経歴だといえた。その点で、日本マイクロソフト入りは、IT業界への復帰という言葉の方が適切であった。

2007年3月にマイクロソフト(現・日本マイクロソフト)に入社時に行われた会見。左は当時のダレン・ヒューストン社長

 マイクロソフト入りは、当時、社長のダレン・ヒューストン氏が明かしていたように、「次期社長を視野に入れている」と、社長含みのものだった。マイクロソフト入社直後から、COO(代表執行役最高執行責任者)として、ヒューストン氏とともに同社の経営をリード。3カ年計画「PLAN-J」の最終年度となる2007年7月からの2008年度においては、PLAN-Jで掲げたデジタルワークスタイルおよびデジタルライフスタイルの2方針のうち、デジタルワークスタイルを樋口氏が担当。「デジタルワークスタイルにおいては、日本は他国に比べて3〜5年遅れている」とし、当時マイクロソフトがメッセージとしていた「People Readyビジネスを推進することが大切である」と語った。

3カ年計画「PLAN-J」の最終年度となる2007年7月からの2008年度においては、PLAN-Jで掲げたデジタルワークスタイルおよびデジタルライフスタイルの2方針のうち、デジタルワークスタイルを樋口氏が担当

 2代続けて外国人社長が就任していたこともあり、パートナー企業や大手企業などの主要顧客からは、細かいところまで「あ、うん」の呼吸でやりとりができる日本人のトップ就任を期待していたところでもあった。

 そうした要望に樋口氏は敏感に反応。入社直後から、精力的にパートナーや顧客を訪問。マイクロソフトに対する要望を聞いていった。

 そこで樋口氏が感じたのが、「マイクロソフトの顔が見えない」ということだった。

 「誰に話をしたらいいのかわからない。話をすると、まるで血が通っていないロボットみたいである。そんな声をあちこちで聞いた」と、樋口氏は語っていた。

 そこで、樋口氏が目指したのが、「顔が見えるマイクロソフト」であった。

 これは、その後数年に渡って、マイクロソフトにとって最優先課題に掲げられるテーマとなった。

 マイクロソフト入りから1年を経過した2008年2月。樋口氏の社長就任が発表された。

 樋口氏にとっても、ソフトウェア会社は初めての経験。「私の準備が完了するのを待ってもらっていた」と、この1年間がまさに社長就任までの準備期間だったことを示した。

 準備期間中、樋口氏は社内改革の必要性も感じとっていた。

 「マイクロソフト社内には、売れていた時代を経験した人が多く、競合他社と戦い、顧客の心を握ってビジネスをした経験がない社員が多い。ここは努力すべき点である。顧客やパートナーに顔を見せ、社内で議論するより、顧客とのやりとりに時間を使いたい」と語った。

2008年2月に行われた樋口氏の社長就任発表会見

 振り返ってみれば、現在、マイクロソフト全体の姿勢が「チャレンジャー」へと転換している。スマホやタブレットの流れに乗ることができず、デジタルデバイス全体では20%以下のシェアに留まっているのがWindowsの現状だ。過去の成功体験と特定領域における優位性に縛られ、新たな領域に踏み出せずにいたことが、今の状況を作っている。

 樋口氏は、2008年の時点で、日本マイクロソフトの社内にもこうした悪い風潮が蔓延していたことに気がついていたともいえよう。

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