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マイクロソフト・トゥディ 第134回

日本MS 平野次期社長は、Windows Phoneを投入するか

2015年03月06日 22時30分更新

文● 大河原克行、編集●ハイサイ比嘉/ASCII.jp

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日本マイクロソフトの平野拓也次期社長

 日本マイクロソフトは、新年度が始まる2015年7月1日から、新社長に平野拓也執行役専務が就任する社長人事を発表した。平野氏は、3月2日付けで代表執行役副社長に就任。現在策定中の新年度事業方針や新たな組織体制についても、樋口社長と共同で策定することになるという。

 一方で、樋口社長は、7月1日付けで、代表執行役会長に就任。対外的な活動を行い、平野新社長を後方支援することになる。

 日本マイクロソフトの会長職はしばらく空席であり、実質的な初代社長を務めた古川享氏が、2000年に会長を退いて以来15年ぶりの復活となる。

 樋口社長は、「新たな体制に交代する上では、かなり綿密に引き継ぎ計画を立ててきた。外資系企業の中には、突然CEOがいなくなったり、空席のまま経営を続けるという例が散見される。それを反面教師に、たすきをつなぐがごとくスムーズに交代して、顧客やパートナーに迷惑をかけないことが大きな使命だと考えた」とする。

 社長交代会見に同席した米マイクロソフト インターナショナルのジャンフィリップ・クルトワ(Jean-Philippe Courtois) プレジデントも、「これは昨日の夜決めたことではない。樋口との数年間の話し合いを経て決めてきたこと」と、長い期間をかけた上での社長交代であることを異口同音に語る。

記者会見で握手する日本マイクロソフトの平野拓也次期社長(右)、米マイクロソフト インターナショナルのジャンフィリップ クルトワ プレジデント(中央)、日本マイクロソフトの樋口泰行社長(左)

お詫びと訂正:掲載当初、掲載写真のキャプションにおいて、ジャンフィリップ・クルトワ プレジデントと平野拓也次期社長の並び順を誤って掲載しておりました。ここに訂正するとともに、お詫びいたします。

 だが、平野氏に打診したのは、今年2月上旬のことだ。

 その時のいきさつを、樋口社長は次のように語る。

 「米本社で幹部だけが出席するミーティングがあり、そこに平野を呼んだ。本来平野は、この会議には参加しなくてもいいのだが、社長交代を伝えるために来てもらった。ただ、事前に来てもらう理由を正式に言えないため、『ちょっと勉強のために来ないか』と誘った。そして、現地ではクルトワが同席して、下期の施策について話をするという理由で平野をディナーに誘った。その話を散々したあとに、最後にクルトワから通達をした」

 それに対して、平野次期社長は「2人とのミーティングということなので、ビジネスのことしか考えてなかった。だが、最後に不意をつかれた形で打診された。一瞬、何を言っているのかわからなかった。だが、すぐに事の大きさを感じ、身の引き締まる思いだった。深呼吸をして、その場で即答して、社長を引き受けた」と、その時を振り返る。

日本マイクロソフトにも浸透する変革の波

 では、なぜこの時期に樋口社長は、会長に退くことを決断したのか。

 これは、ある意味、絶好のタイミングが訪れていたともいえよう。

 もともと過去の日本マイクロソフトの社長としては最年長で社長に就任したにも関わらず、7年という在任期間は外資系企業の社長として見ても長い。交代時期が訪れてもいいといえるタイミングだった。

 だが、それ以上に樋口社長の退任がこのタイミングとなったのは、昨年2月に米本社のCEOがサティア・ナデラ(Satya Nadella)氏に交代。それ以降、急速な勢いで変革が進んでいることが挙げられるだろう。

 Windowsの無償提供などのプログラムを新たに開始。iPadやAndroidでもOfficeが活用できるような施策を打ち出したのもナデラCEO就任以前には考えられなかったことだ。

 その変革の波は、日本マイクロソフト社内にも浸透しており、「すべての議論において、どう変革するかといったことが話し合われている」(日本マイクロソフト関係者)というほどだ。

 その中で、樋口社長自身も社長退任のタイミングを図っていたのは明らかだ。

 「昨年、米マイクロソフトのCEOにサティア・ナデラが就任し、変革をさらに急ピッチで進めている中で、日本マイクロソフトもリーダーをリフレッシュし、世代交代を進め、さらに変革を進めていくタイミングにあると感じた」と樋口社長自身も語っている。

 そして、「社名を日本マイクロソフトに変えてから、来会計年度がちょうど5年目。また、日本マイクロソフトが創業してから30年目を迎える。そうした記念すべき年に新たなリーダーにバトンタッチできるのはいい形だ」とも語る。

「オリンピックへの貢献にも取り組みたい」

 本来ならば、この数年の日本マイクロソフトの実績を踏み台に、樋口氏自身が海外に飛び出し、もうひとつ上の役職を担うという手もあっただろう。だが、本人にはどうもその気がないようである。

 「外部のネットワークを生かした活動、さらにはトップ営業や、財界および政府への影響力向上に取り組む」とする。

 なかでも気になった一言が、「オリンピックへの貢献にも取り組みたい」というひとこと。東京オリンピックの活動にむけては、これまでほとんど取り組みを行っていないのがいまの日本マイクロソフト。ロンドンオリンピックでは映像配信にMicrosoft Azure Media Servicesが活用され、ソチオリンピックでは、公式ウェブサイトのプラットフォームにMicrosoft Azureが活用され、オリンピックの大会運営を支えた。東京オリンピックにおいて、日本マイクロソフトがどんな貢献をするのか。そこに樋口氏の会長としての役割がありそうだ。

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