よく考えられた装着方法で、耳穴にふたをするようにフィット
金属製ハウジングのシャーシは正円に近い形状。その上部に少しやわらかい素材の突起があり、装着時にはそこから飛び出したケーブルを耳の後ろに回して固定する。いわゆるShure掛けで使うタイプのイヤフォンとなる。
シンプルな形状だが、耳にフタをしたようにぴったりとイヤフォンが収まる。導管の角度、円形のハウジングの大きさが適切で、上部の突起もうまい具合に支えとなる。ケーブルは両出しの直付けタイプ。ケーブル中ほどにあるDITAと書かれた金属パーツで1本にまとまり、そこにチョーカーが用意されている。これをアゴの付近まで締め上げることでケーブルがまったくぶらつかなくなる。歩いたり、動いたりしても邪魔にならず、装着感、取り回し含めてかなり考えられている印象だ。
The Fatケーブルは弾力のある素材で触れ込みどおりタッチノイズの影響はほぼ感じない。The Truthはこれよりは硬く意図的にクセをつけることもできるので、耳に装着する際の取り回しがよりしやすい印象だ。ハウジングは金属製でも軽量だし、フィット感も高いので、しばらく装着していると着けているのを忘れるほどだ。
スピーカー再生のようなゆとり、そして落ち着きと爽快さ
音調に関しては、付帯音が少なくクリーンかつスムースに音が流れる印象。ワイドレンジだがギスギスした印象はなく、全体に穏やかでゆとりのある再生だ。インイヤータイプであるが、大きめのオーバーイヤータイプのヘッドフォン、あるいは小さめのフロア型スピーカーで聴いた音のような包容力がある。
音はきめ細かく、エッジにとげとげしさがなく柔らか。一方で情報量は豊富で、中高域はとても爽快に広がり、低域もダンゴにならず音がしっかり分離する。もちろん量感も十分にある。
記事執筆のためにAK240との組み合わせで、いろいろなハイレゾファイルを聴いた。ブルーノートレーベルのジャズでは、金管楽器の雑味がない音色、エコーのかかったボーカルがすっと消えていく際の滑らかさなどがあって、アナログレコードをスピーカー再生しているような趣がある。かといってナローレンジではなく、高域はすっと抜ける。低域も広がり感があり、若干盛り上がる傾向だが、タイトというほどではなく、ローエンドの沈み込みもほどほど。逆にこれぐらいのほうが疲れにくくていいかもしれない。
同じユニットを使用しているということもあり、この印象はAnswer、Answer Truth、Answer Truth Balancedに共通する。しかし順に聴き続けていくと、各モデルが表現する音の世界は確実に変わる。あえて世界と書いたが、単純な音質の違いというよりは音楽自体の表情や質が変わったような印象を与えるのだ。
Answer Truthは、Answerの音調をより上品で落ち着いた雰囲気した印象。さらにAnswer Truth Balancedは弱音と強音のバランスがより大きくとられ、空間も広がるといった具合に、価格に応じた差は感じるのだが、これも最もベーシックで、ラインアップの中心になるAnswerの完成度の高さがあってのものだろう。
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