日本マイクロソフトが、5月中旬から、社員向けスマートフォンの機種変更を開始。新たに、Windowsを搭載したマイクロソフト製スマートフォン「Lumia 830」を導入した。
日本マイクロソフトでは、多くの社員が、2011年8月に発売した「Windows Phone IS12T」を使用していたが、Windows 7.5(のちにWindows 7.8にアップデート)を搭載した同製品は、発売から3年9カ月を経て、すでにサポートそのものが終了。利用できないアプリが増加するなど性能的な限界に達していたほか、そのまま使い続けていても生産性が悪化するという状況になっていた。また、2014年10月にはWindows Phone OS 7.8のメインストリームサポートが終了しているためセキュリティ上問題がある点をはじめ、管理コストが上昇していた点も見逃せない。
あわせて、「モバイルファースト」を標榜する日本マイクロソフトの社員が、約4年前に発売されたモバイルデバイスを利用しているという現状を改善する必要があった(「日本マイクロソフト 樋口社長が使うべきスマホは何か?」参照)。
だが、IS12Tが発売されて以降、日本国内においてはWindows Phoneの新製品が発売されていない。Windows Phoneにこだわる限り、(何らかの対策を施していた可能性があるとはいえ)日本マイクロソフト社員自らがメインストリームサポートが終了したOSで旧機種を使い続けなくてはならない状況にあった。
あくまでも同社社内で利用することが目的
現時点でも、日本マイクロソフトは「Windows Phoneの投入は、前向きに検討しており、準備を進めている」とコメントしているにすぎず、国内市場にWindows Phoneが投入される計画は未定だ。ただ、マウスコンピューターなどのメーカーが、SIMロック解除などの流れを背景に独自にWindows Phoneの投入を計画していることを明らかにしており、国内におけるWindows Phoneの発売が秒読み段階にはなっていた。
今回の日本マイクロソフトの措置は、あくまでも同社社内で利用することを目的として、「Lumia 830」を導入している。日本マイクロソフトが、総務省令で定める技術基準適合証明を取得し、技適マークを付与。これにより、日本国内において通話やメール・ブラウジングなどの通信利用ができるようになる。
日本マイクロソフトでは、Lumia 830を国内市場で販売する予定がないことを明確に示すが、それにも関わらず技適マークを取得するというウルトラCをやってのけたといえる。それだけ、日本マイクロソフトのモバイル環境は、性能や生産性、管理面で問題がありすぎる状況にあったといえよう。
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