マウスコンピューターが、Windows Phoneベースのデバイスに関する開発意向を明らかにした(関連記事)。
発表では、本体のデザインを公開するとともに“LTE対応SIMフリー”として製品投入することを明らかにしているが、それ以外の詳細な製品構成や販売時期については、「後日発表する」としている。
Windows Phoneは、富士通が開発したau向け「IS12T」の2011年8月発売以来、後継機が国内販売されていない。IS12Tは「Windows Phone 7.5」を搭載したスマートフォンであり、その後継となる「Windows Phone 8」以降のスマホはこれまでにはない。
しかし、今回のマウスコンピューターのWindows Phoneの開発意向表明により、「Windows Phone 8」以降のデバイスがいよいよ国内で発売されることになる。
マウスコンピューターでは、「Windows Phoneベースのデバイス開発契約を締結し、Windows Phoneベースのデバイスの開発に着手している。マイクロソフトの『一つのWindowsで幅広いデバイスをサポートする』という取り組みを強く支持しており、従来のデスクトップパソコン、ノートパソコンに加え、ワークステーション、タブレットパソコンなど、製品カテゴリーを拡充してきた。
新たに、今後さらなる需要の拡大が見込まれているWindows Phoneをベースとした製品を最新ユビキタス端末としてラインナップ化することにより、いつでもどこでも、ネット上の動画や音楽コンテンツの視聴、ウェブブラウジングやオフィスソフトウェアを同じOSプラットフォーム上で実現できる」としている。
CTE(チャイナ・テクノロジー・エコシスム)
今回のマウスコンピューターのWindows Phoneの国内投入は、様々な条件がうまく重なりあって生まれたものだ。
もともとWindows Phone 8の開発は、全世界で4社に限定されていた。マイクロソフトに買収される前のノキアのほか、ファーウェイ、HTC、サムスンの4社だ。全世界の市場を対象にビジネスを展開し、一定規模の数量を開発できるメーカーに限定していたため、国内市場を中心に付加価値モデルで展開する日本のメーカーは、開発できない状況が続いていた。また、これら海外4社についても、日本にWindows Phoneを導入するための体制が整っていなかったため、製品投入できないという状況が生まれていた。
だが、2014年2月にスペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress」において、レノボやZTE、LG電子などのOEMメーカー、フォックスコンなどODMメーカーを含む9社が生産できる体制へと拡充。さらに2014年4月には、マイクロソフトの開発者向けイベント「Build」において、9型以下のディスプレイを備えるデバイスに対するOSライセンスを無償にすると発表。その中には「Windows Phone 8.1」も含まれることになった。
それに続いて、2014年6月には、台湾で開催されたコンピューター関連総合見本市「COMPUTEX TAIPEI」において、CTE(China Technology Ecosystem、チャイナ・テクノロジー・エコシスム)と呼ばれる新たな仕組みを発表。Windowsを搭載した低価格タブレットおよびスマートフォンを、マイクロソフトとODMベンダーが直接契約して生産できる体制が新たに構築された。すでに40社以上のODMベンダーがWindows Phoneを含むデバイスを生産できる体制を確立している。
今回のマウスコンピューターのWindows Phone投入は、米マイクロソフトとの直接契約のもとでWindowsライセンスが提供され、9型以下のディスプレイを搭載したデバイスへのライセンスプログラムによって製品化されるものになりそうだ。マウスコンピューターが言及するように、これまでのWindows搭載PCやタブレットに関する製品化ノウハウをもとに、新たなWindows Phone搭載のデバイスを製品化することになる。
SIMロック解除義務化 - メーカー主導で独自の製品化が可能に
こうしたマイクロソフトのWindows Phoneに関わるOSライセンス制度の変化が、マウスコンピューターの製品開発につながったといえるが、それに加えて、日本におけるSIMロック解除義務化を2015年5月に控え、SIMフリーの動きが今後加速し始めるといった要素も見逃せない(関連記事)。
SIMフリーやMVNOの広がりによって、NTTドコモやau、ソフトバンクといった大手キャリアと契約を結ぶことなく、スマホを市場投入できる環境が整ったことは、マウスコンピューターのようなメーカーにとって、参入障壁が一気に下がったことを意味する。キャリアの要望にあわせた製品づくりをする必要がなく、メーカー主導で独自に製品化を行い、キャリアの事業戦略とは一線を画した形で市場投入できるからだ。

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