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前田知洋の“タネも仕掛けもあるデザインハック” 第66回

スター・ウォーズ コンテンツの成功の7つのポイント

2015年05月22日 09時00分更新

文● 前田知洋

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その4 フィードバック・ネットワーク

 ルーカスは、才能やセンスある友人に脚本や構想をよく相談していました。その頃から巨匠になりつつあった映画監督、フランシス・フォード・コッポラもそのひとり。後にコッポラとの関係は微妙になりますが、自分の頭の中だけで完結させるのではなく、構想のフィードバックを受けられるネットワークの構築が「スター・ウォーズ」の成功のひとつだったと言われています。

米国ワシントン大聖堂にも設置されたダースベーダー像(ただし、屋根付近なので実物は肉眼では見えません)

 次のポイントからは根本論です。

コンテンツ成功のポイント(根本論)

その5 いきなり売れたりはしない 成功のステップ

 ルーカスのデビュー作映画『THX-1138』(1971年)は、興行的には失敗でしたが、業界人には高く評価されました。次作「アメリカン・グラフィティ」では低予算でありながら大ヒット。そこで得た資金を次々作『スター・ウォーズ』のスタートアップにつぎ込みます。つまり、ルーカスの才能は学生時代から評価され、『スター・ウォーズ』で突然売れたわけではありません。

その6 普遍のネタの宝庫、古典を熱心に研究

 スター・ウォーズの脚本を書くにあたり、ルーカスは、アーサー王伝説、聖書、SF古典大作映画『メトロポリス』(1927年)などを熱心に研究。SF連続活劇『フラッシュ・ゴードン』(1936年)のファンでもあり、冒頭にスクリーンの奥に流れる文章など、多くのヒントを得ています。黒澤明 監督映画にも影響を受けていたのはよく知られた話です。

その7 何に価値があり、何に価値がないかを見抜く

 ルーカスはマーチャンダイジング(キャラクター商品)、サウンドトラック、続編などの権利を収入と引き換えに映画会社から獲得します。当時、映画界や玩具企業は「映画関連グッズ」の市場を小さく見積もっていたのは、上の「その2」でも説明しました。

 映画会社に搾取されるのではなく、コンテンツ制作者が作品をコントロールできる契約を獲得したことも、コンテンツとしてのスター・ウォーズの成長に大きくつながりました。

 コンテンツを育てるのは、植物を育てるのに似ています。最初に紹介した4つの手法論が即効性のある化学肥料だとしたら、後の3つの根本論はゆっくりと作用するオーガニック肥料。力強い優良コンテンツを育てるには、2つのバランスが大切。それが僕の考えです。

前田知洋(まえだ ともひろ)

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。現在、ビジスパからメルマガ「なかマジ - Nakamagi 3.0 -」、「Magical Marketing - ソシアルスキル養成講座 -」を配信中。

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