親子のプロキシーファイト(議決権行使の委任状集め)や、それぞれの主張が連日報道された大塚家具の経営者の交代のニュース。週刊誌では社内のスキャンダル合戦になるなど、ライブ感あふれるニュースはネットでも多くの人の注目を集めました。
ネットメディアで目立ったのは「家具店の会員制の是非」賛否についてのコメントです。新聞系メディアが注目した「旧経営者vs新経営者」「男性vs女性」「高級vsカジュアル」ではなく、消費者目線の「入りにくいvs入りやすい」という部分。ネットユーザーがそこにコメント集まることを筆者は興味深くウォッチしていました。
そもそも「住所を書けば入れる」は会員制?
自宅を購入した10年ほど前、筆者はいろいろなインテリアショップや家具店に足を運びました。大塚家具でも、トーネットのイスと庭に置くガーデンテーブルを購入。
そのときのショールームの印象や満足度は後述しますが、今でも覚えているのは、入り口で住所を書かされたこと。消費者の立場で素直な感想を書けば、「個人情報」を入場料のかわりに渡すことに抵抗感がありました。もちろん、家具のような大型商品を購入すれば、配送のために住所を教えることになりますから、情報提供のリスクは同じなんですけどね。でも、なんか、外国の空港で入国審査の書類を書かされてる感じ…、「入るために、仕方なく…」という我慢のしどころなのかもしれません。
しかし、その「会員制」というシステム、世間では「入会審査が厳しい」とか「入会金や会費が高い」、「なかなか会員になれない」などが「高級感」「特別感」につながっているように感じます。黒いクレジットカードを出すことでセレブ感をあじわったり、某テーマパークで特別なエリアに入る優越感とでもいうのでしょうか。
ドアを開けるために呪文を唱える!?
入場を演出するギミック
ハリウッドにマジックキャッスルという会員制のクラブがあります。俳優の手形で有名なチャイニーズシアターのそば、観光客で賑わうハリウッド大通りから1本裏手に位置しています。紹介がなければ入れない、名実ともに会員制クラブとして世界中のマジシャンに知られていました。
そのクラブがユニークだったのは、入場のしかた。入り口で本棚のフクロウの置物に「Open sesame !(開け ゴマ!)」と呪文を唱えると、本棚が開いて入場できる仕掛けです。少し子供じみた演出かもしれませんが、ハリーポッターの映画に登場するシーンみたいな感じと言えば、イメージしやすいかもしれません。
一方、ロンドンにあるマジシャンのクラブ「the magic circle」は住所も公開されておらず、建物の表札には名前もありません。入り口にあるのは、奇妙なマークだけ。タクシーで向かうと、運転手に「以前も行ったことがあるけど、何の場所?」と聞かれることもあります。会員は「言えない」というのが、訪れる人のお約束です。こちらの方が、少し大人の洗練さがあるかもしれません。
(次ページ、「会員制の力学」に続く)
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