秋のヘッドフォン祭 2014 第8回
ドライバー構成非公開。「“来”年内には発売したい。」
FitEar、3Dプリンター製で“構成非公開”のカスタムIEM「Aya」
2014年10月27日 20時05分更新
3Dプリンターで作るカスタムIEM
10月25、26日に中野サンプラザで開催された「秋のヘッドフォン祭 2014」。FitEarは25日の発表会内でカスタムIEM「FitEar Aya 〜彩〜」の詳細を明かした。
3Dプリンターでシェルを制作するモデルで、シェルおよびフェイスプレートはブラックの1色展開。レジンキャストを紫外線で硬化させる従来の方式では、複雑な形状に仕上げる際、素材を均一に硬化させるのが難しいという側面があったが、3Dプリンターで制作すれば「均一に堅い」シェルが作れる。また、ホーン形状の音導孔に別の音導孔を合流させるなど複雑な造形も正確に実現できることから、3Dプリンターの導入を決めた。
開発にあたっては2012年に同社が発表した「MONET-萌音-」での反省を活かした。FitEarの須山社長は、MONET-萌音-を「どんな楽曲にも対応できるイヤフォンを目指したつもりなのに、狙いが“通”過ぎて聞く人を選ぶものになった。能動的に聴く姿勢が求められる製品になってしまったのです」と分析する。MONET-萌音-はBA型ドライバーを4基搭載していたが、Aya 〜彩〜はドライバー構成を“非公開”とした。「FitEarが届けたいのは音、ユーザーが聴きたいのも音」という考えにのっとり、スペックに流されず純粋に音を聴いて欲しいとの意図を込めたという。
「アニソンは幼き日に受けたDNAの傷」
音質面でのキーワードは、ずばり「アニソン」だ。「ジャズが好きな人でも、初めて聴いたジャズは『ルパン』のテーマだったかもしれない。『鉄腕アトム』の放送が開始されたのは1963年ですから、ここにいる人のほとんどはアニソン世代です。無批判な子どもの時期に聴いたアニソンは、言わば幼き日にDNAに受けた傷。アニソンというのは作品のテーマによって様々なジャンルのテイストで作られるものですから、アニソンが問題なく再生できれば、どんなジャンルに対応できるということです(須山社長の登壇時コメントより)」との理論を基にチューニング。能動的に聴く姿勢が求められたMONET-萌音-に対し、Aya 〜彩〜は誰にでも分かりやすい音質に仕上がっているという。
発表会の終盤では人気ブログ「Music TO GO!」で知られるオーディオライターの佐々木喜洋氏が登壇。「明瞭な音質で、楽器の生々しさも感じられる。Astell&Kern AK120 IIなど、ハイファイな音の再生が得意なプレーヤーとは相性がいいのでは」と評した。
発売日および価格は現時点で未定。発売日に関しては「年内…………“来”年内には(須山社長)」とした。
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