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“The Machine”を見据え、サーバーから“Compute”へ

25周年目のHP ProLiant、Gen9はワークロード特化型へ

2014年10月03日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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10月2日、日本ヒューレット・パッカードは第9世代目を迎えるx86サーバー「HP ProLiantサーバー Gen9」の戦略発表会を開催した。25周年目を迎える新世代HP ProLiantがテーマとして掲げるのは「ワークロード特化型」というコンセプトだ。

最新のCPU搭載だけでは市場ニーズに対応できない

 HPの屋台骨ともいえるx86サーバー「HP ProLiantシリーズ」は、コンパック時代の1989年に生まれ、今年いよいよ25周年を迎えた。戦略発表会の冒頭、登壇したHPの手島主税氏は、グローバルでは73四半期(18年)連続でx86サーバーのトップシェアを誇り(IDC調べ)、累積では3200万台以上のサーバーを出荷してきた実績を強調。「ラック、ブレードなどサーバーのフォームファクターをいち早く導入してきたのが、われわれの一番のリーダーシップ」と挑戦を続けてきた過去の実績をアピールした。

日本ヒューレット・パッカード 執行役員エンタープライズグループ事業統括 HPサーバー事業統括本部長 手島主税氏

 しかし、次の25年、同じシェアや競争優位性を保てるかわからないという市場動向が目の前にあるのも事実だ。急激に拡大する需要、調達手段の変化・多様化、プレイヤーの変化、そして新しいテクノロジーの登場などにより、従来の戦い方ではもはや競争は難しい。「今までと同じように、最新のCPUを搭載してパフォーマンスを上げるだけでは、もはや市場のニーズに対応できない」と危機感を募らせる。

HP ProLiantの25周年と、これからの25年

 こうした中、HPが掲げるのは、サーバーのみならず、ストレージ、ネットワークなどのリソースを迅速に、適材適所に提供できる「ワークロードに最適化されたコンピューティングリソースとしての“Compute”」。クラウド、ビッグデータ、モバイル、ソーシャルなどの4大技術トレンドの元、求められるワークロードを効率よく処理する新しいリソースプールが必要だと説明した。「たとえば、データベース1つとっても、もはやRDBMSでのデータの保存や検索だけではない。HadoopやインメモリDBが登場し、お客様がビジネスのニーズにあわせてワークロードを選択するようになっている」(手島氏)。

 これに対して、HPはワークロードを汎用ビジネスアプリケーション、ミッションクリティカル、ビッグデータ・HPC・Webスケールアウト、そして仮想化/クラウドの4つに分類。HP ProLiant Gen9を「ワークロード特化型サーバー」と位置づけ、共通の標準化されたアーキテクチャの元、要件に合わせた幅広いラインナップを用意していく。HP Moonshot登場の際にアピールされたワークロードごとにカートリッジを変えるというコンセプトを、サーバーのポートフォリオ全体に拡げたようなイメージと言えるだろう。

HPが定義する4大ワークロード向けCompute

 そして、このComputeのビジョンを見据えて、HPが取り組んでいる「The Machine」のプロジェクトも紹介された。ワークロードに特化したSOC(System on Chip)とHP独自開発のユニバーサルメモリ、そしてこれらを接続するフォトニクス配線などの最新テクノロジーを投入したThe Machineを、同社は2019年に投入することを発表している。手島氏は、「他のベンダーが今から実行しても、時として遅い。われわれは近未来の予想図をすでに開発している」と語る。

将来に向けた革新を目指す究極のCompute基盤「The Machine」のコンセプト

Gen8の自働サーバーを継承。さらにワークロードに特化

 続いて登壇したHPの橘一徳氏は、自身がサーバービジネスに携わるようになったGen3時代からの経緯を「当時はPCサーバと呼ばれており、パソコンに毛が生えたようなもので、エンタープライズ系システムで利用できるとは思われなかった。しかし、それから25年が経ち、企業活動だけではなく、社会インフラを支えるまでに成長してきた」と振り返る。その上で、明確なビジョン、ポートフォリオ、そして最新テクノロジーを搭載した競争力の高いラインナップという3つの柱が次の25年を支えるとアピールした。

日本ヒューレット・パッカード 執行役員エンタープライズグループ事業統括 HPサーバー事業統括 HPサーバー製品統括本部 統括本部長 橘一徳氏

 さらに橘氏は、「スペック重視」「マニュアル運用」「サイロ型」だった旧来のITの限界を超えるNew Style of ITを実現すべく、さまざまなワークロードに対応するエンジン“Compute”の概念が生まれたと紹介。ハードウェアの垣根を越えたより抽象的なコンピューターリソースを、ソフトウェアから最適化するという方向性を推進するという。

 こうしたComputeのビジョンを中心に据えた第9世代のHP ProLiantサーバー Gen9では、前世代のGen8で推し進めてきた自働サーバーのコンセプトを継承しつつ、「Software-Defined and Cloud ready」「Workload-Optimized」「Converged」のコンセプトを推進するという。

自働サーバーの開発、そしてワークロードの最適化へ

(次ページ、世代交代にふさわしい大幅な強化を実現)


 

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