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続々登場!最新Xeon E5搭載サーバー 第6回

「やっとこうなったか!」運用の効率化をとことん追求

HPのGen8はログ採取や通報を自身が行なう「自働サーバー」

2012年03月30日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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3月29日、日本ヒューレット・パッカードは「自働サーバー」を謳うx86サーバー「HP ProLiant Gen8」を発表した。脱スペック競争を宣言し、ハードウェアではなく、サーバーの運用環境を提供することで、HPならではの価値を訴求していくという。

サーバー運用においても顧客体験を向上させる

 今回発表された「HP ProLiant Gen8」は同社で第8世代となるx86サーバー機で、発表されたばかりのインテル Xeonプロセッサー E5-2600を搭載する。第一弾として発表されたのが、タワー型の「ML350p Gen8」、ラックマウント型の「DL360 Gen8」「DL380p Gen8」、ブレードサーバー「BL460c Gen8」、そしてスケールアウト型のモジュールサーバー「SL230s Gen8」「SL250s Gen8」の6モデルとなる。

発表されたHP ProLiant Gen8の第一弾ラインナップ

 新モデルでは視認性の高い新LEDを採用した新ストレージや消費電力の低いメモリを採用し、HDD3本でのミラーリングが可能なRAIDコントローラーなどを新たに搭載した。その他、80 Plus Premium Plusを謳う高効率電源、交換可能なオンボードNIC、前世代から倍増したセンサーなど、さまざまなハードウェア面の改良が施されている。

2Uの2ソケット対応ラックマウントサーバー「DL380p Gen8」

ハーフハイトのブレードサーバー「BL460c Gen8」

 しかし、発表会において強調されたのは、こうした新サーバーのスペックや価格ではなく、サーバーの運用管理を改善を実現するソリューションの価値だ。冒頭、日本ヒューレット・パッカード エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 執行役員の杉原博茂氏は、Converged Infrastractureの概念と「Project Voyager」と称されたHP ProLiant Gen8の開発プロジェクトについて説明した。

日本ヒューレット・パッカード エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 執行役員 杉原博茂氏

 Project Voyagerは省電力サーバーの開発プロジェクト「Project Moonshot」、ミッションクリティカルサーバーの開発プロジェクト「Project Odyssey」と並ぶ第3のプロジェクト。データセンターのあらゆる作業を自動化し、手作業を極限まで削減することを目的に、240億円の投資、900以上の新規特許申請、150以上の新設計/デザインを行なったという。

Project Voyagerの概要

Project Voyagerを構成する3大要素

 サーバー自体のテクノロジーだけではなく、インフラ管理用のクラウドとサービスを組み合わせることで、「属人的な作業の効率は3倍向上し、ソフトウェア更新にかかる時間は7割短縮できる。問題解決にかかる時間も66%短縮し、海外にあるサーバーも効率よく管理できる」(杉原氏)という。杉原氏は、サーバー運用環境の向上により、「想像を超える顧客体験を提供する」とアピールした。

スペック競争からの脱却を宣言

 実際の運用管理の改善について説明した日本ヒューレット・パッカード エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバーマーケティング統括本部 インダストリースタンダードサーバー製品本部 本部長 橘一徳氏は、各社がサーバーのスペックが横並びになっていることを示し、「今回はスペックをお伝えしたいのではない」と宣言。杉原氏の話を引き継ぎ、「自働サーバー」を謳うHP ProLiant Gen8の詳細について解説した。

日本ヒューレット・パッカード エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 サーバーマーケティング統括本部 インダストリースタンダードサーバー製品本部 本部長 橘一徳氏

 まず紹介されたのは、サーバーのセットアップを自動化する「HP Intelligent Provisioning」だ。「F10キーを押すと3秒で起動し、ドライバーやファームウェア、各種ツールを自動ダウンロードしてくれる」(橘氏)とのこと。初期導入の作業だけではなく、更新も効率化される。

 また、フライトレコーダーのようにサーバーのログを自働収集する「HP Active Health System」も搭載された。HPのサービス部隊に自動送信することも可能で、障害の早期解決に大きく貢献するという。さらにクラウドベースのシステム管理ポータル「HP Insight Online」も新たに提供される。HP Insight Onlineは、運用や保守に必要な情報をクラウド上のツールでまとめて表示し、いつでもオンラインで確認することが可能。「HP通報サービス」と連携しており、パートナーやHP自身の保守サービスとあわせて有効活用できる。

サーバーのログを自働収集する「HP Active Health System」

クラウドベースのシステム管理ポータル「HP Insight Online」

 これらの機能は、HPサーバー向けの管理チップである「HP iLO Management Engine」に搭載されており、OSに依存しないで利用できるという特徴がある。サーバーをハードウェアレベルでクラウド型サービスと連携させ、運用効率の最適化を実現させたわけだ。橘氏は、発表前に個別紹介した70社のフィードバックとして、「問題発生後にログを仕掛け、収集/分析と、時間がかかっていたのが短縮できる」「各種情報管理の画面が統合されたのは助かる」「どのように運用改善ができるのか提案してほしい」といったコメントを紹介。新サーバーへの評価を「ゲーム会社 運用担当様の『やっとこうなったか』というコメントに尽きる」(橘氏)とまとめた。

70社の顧客から得たコメント

 サーバー運用の効率化が実現することで、敷居が下がり、人材を有効活用できるという。杉原氏は、HP Active Health Systemを引き合いに、「昔、サーバーが動かなくなったら、とにかくログを採れと言われた。エンジニアは寒いデータセンターに毛布を持って入室し、ケータイも通じないところで、ひたすらダンプをとっていた。HP ProLiant Gen8であれば、こうした苦労から解放される。Facebookを普段やっているくらいのリテラシの方でも、簡単に操作できる」と現場目線で新サーバーのメリットを説明した。

サーバー新製品発表の場所としては異例の秋葉原「UDX Theater」で開催された

 新Xeonプロセッサーの投入と共に、他社でもサーバー製品の新製品が続々投入されているが、運用管理の効率化は共通のテーマだ。その点、マネジメントチップであるiLOの機能強化はHPサーバーの正常進化ではあるが、従来サーバー管理ツールやサービスで担っていた部分をサーバーと一体化した点が第8世代HPサーバーの特徴といえるだろう。

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