KADOKAWAとドワンゴの経営統合は、社内でも寝耳に水の話でした。1年前にグループ内の九つの事業会社が合併してKADOKAWAに生まれ変わり、その1年後に、人のつながりがあるとはいえ、今までは別の会社です。
しかし、その兆候がなかった、といえばうそになります。そもそも弊誌が誕生したのが1年前。クラウドコンピューティングに限らず、いまビジネスで起きていることを「クラウド」の切り口から眺めれば、従来のビジネス誌では捉えきれないダイナミズムを描ける。そんな会長の角川が抱くコンセプトは、今回の決断と同根です。
グーグルやアマゾンなど、クラウドコンピューティングを前提にしたクラウド企業が破竹の勢いで従来型の産業を破壊していく。胸のすく思いがする一方で、そのために路頭に迷う人のことを考えると、資本主義だから、弱肉強食だから、自己責任だから、では片付けられないさまざまな問題に直面します。
その意味で、今回の特集はアスキークラウドの1年間の総集編です。「自社もの」で視点が甘くならないよう、コンテンツ企業の覇者であるウォルト・ディズニー・カンパニーと比較し、「クールジャパン株式会社」がどんな時代に生まれるのか、説き明かすことにしました。日本に生まれ、日本企業で働く身としては、「すごい日本企業がいつか生まれて」と夢見るより、この時代をどう生きるか洞察し、自ら生まれ変わるべきなのです。
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