「ゲームよ、お前もか!」と叫びたくなる特集でした。ガラパゴス化して世界の潮流から乗り遅れたのは携帯電話だけではなく、かつて世界を席巻したゲームも同様だったのです。ハードウエアは任天堂、ソニーが世界3強にとどまっていますが、ゲームソフト業界の衰退は急激でした。かつてはソフトウエア輸出の大半を占めていたはずが、2008年のピーク(約7200億円)から、2011年には約2900億円にまで減少したのです。
最も考えられるのはスマートフォンの影響です。しかし、ゲーム産業の衰退はスマホ以前から始まっていて、スマホだけでは原因を説明できません。ゲームクリエーターが、日本と海外の「ゲーム」の隔たりに気付けなかったのはメディアの責任でもあるでしょう。
マーケティングや教育、社会の形成に応用されだしたゲーミフィケーションも、日本ではバッジを配ることと曲解され、普及は頓挫したといっていい状況です。一方で技術革新は続いており、スマホではできない、ゲーム専用機ならではの楽しさは今後も追求されていきます。屋外にいるのにスマホを見ながらゲームをするのはおかしい、ソーシャルゲームといいながら、利用者から小銭を巻き上げる方法としてゲームを使うのはおかしい。成功した作品のフォーマットを壊してでも、新しい作品に挑戦するゲームクリエイターの姿勢は、「テンプレート」や「モデル」で考えろ、と教育されているビジネスパーソンには耳の痛い話でしょう。

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