グーグル、アマゾン、フェイスブックの創業者の共通点は、計算機科学を専攻していたことです。シリコンバレーのベンチャー企業では、計算機科学は知っていて当たり前の基礎教養。一方、日本のIT業界では、人手不足のときに文系出身学生をSEとして採用し、計算機科学の基礎知識はおざなりに、いきなりC++やJavaをたたき込み、OJTと称して現場に送り込みました。その差が日米の差になった、というのは言い過ぎでしょうが、コンピューターとは何か、何が得意で何が不得意なのかを熟知しているからこそ、検索エンジン、ECサイト、SNSの分野で誰もが憧れる先端企業になれたことは確かです。
今回の特集では、「クラウド」を誌名に掲げる雑誌として、初めてクラウドコンピューティングをテーマにしました。しかし、SaaSやスケーラビリティーなど、すでに多くのメディアで語り尽くされているクラウドコンピューティングについて、今さら話題にしても面白くありません。そこで、取り上げたのが「クラウド型で成功する日本企業」です。ボロボロになる一方のIT企業に対して、「仮想化」や「平準化」など、世界の最先端を行くクラウド企業と同じアイデアで業績を伸ばす日本企業があることに驚きました。取材から帰ってくる記者たちは、いつもより充実した顔をしている印象を受けました。「クラウド」は「コンピューティング」だけの発想ではない。そんな意識で仕事を変えていきたいものです。

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