米アマゾン・ドット・コムが10月24日に発表した7~9月期の決算は、純損失が4100万ドル(約41億円)。設備投資などが大幅に増加し、従業員数は四半期で1万人以上増え、全世界で10万人を超えたそうです。赤字にもかかわらず、売り上げは順調に増えているため株価は高い水準で推移しています。「だが」と編集会議で検討した仮説が「アマゾンの成長は踊り場にあるのではないか」でした。表紙の少女のようにスポットライトを浴び、黒猫と共に順調な足取りで成長してきたアマゾン。しかし、少なくとも国内の流通企業に永続的な勝者はいません。戦後、駅中心に都市が成長し、その後は自動車の普及と幹線道路の整備の相互作用でロードサイドの大型店舗が頭角を現し、「シャッター通り」と化した駅前商店街は全国に数多くあります。流通企業は、社会構造の変化の影響を受けやすいのです。
特に日本で急速に進む少子高齢化は、他国との対応を変えなければならない点で、アマゾンのような青い目をした金髪のグローバル企業には不利に働くでしょう。そういう視点で取材を進めたのが今回の特集です。グローバル企業と同じ土俵では太刀打ちできなかった日本の流通業界。ところが、地域社会や高齢者、ヤフーやカゴメなど、日本にしかない特殊事情をつぶさに見ていくと、「アマゾン最強」の印象はだいぶ薄らぎました。「本土決戦」で勝ちパターンを身につけた日本企業の姿を糧に、本誌も成長していきます。
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