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前田知洋の“タネも仕掛けもあるデザインハック” 第29回

3Dプリンタ、ホログラフ、求心力のあるコンテンツ投入の場所とは?

2013年11月15日 09時00分更新

文● 前田知洋

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古い原理と最新のデバイスの組み合わせ

 アメリカの最新版オモチャに話を戻すと、紹介した「HOLOGRAFX」は、「ペッパーズ・ゴースト」のような仕掛けを使いながら低価格(米Amazonでは$30ほど)で提供しています。なぜそんなことが可能かというと、じつはこのオモチャには、iPhoneやiPod touchが必要になります。厳密を言うと、元の映像は2Dデータなので「ペッパーズ・ゴースト」のように立体映像ではありません。しかし、舞台上にあるオブジェクトのおかげで立体像のように錯覚します。

 (もちろん、映像データをインストールするための空き容量も必要になります。ただし、アプリケーションは無料なので、そんなデバイスのユーザーであれば、お金はかかりません。)

HOLOGRAFXのパッケージ。だいたいのサイズ感がわかる

もう1つのポイント、人間は人間が好き……

 そんな古い原理と「隕石から救う」という子供染みた設定……。それでも観ていて魅き込まれるのは「人間は人間が好き」という、古来からの普遍の心理から。人間や動物の脳は、自分の分身のような造形に興味を示します。舞台に小さな人間が登場して動くのを見ると、初めてHONDAの人形ロボット「ASIMO」を見たときのような、ゾクゾクした感覚を抱かずにはいられません。

ロンドンのHAMLEYSで作った筆者の立体像

 数年前にテレビ番組のロケで英国を訪れたことがあります。収録の合間に、ロンドンの老舗のオモチャ屋「HAMLEYS」で変わったサービスを見つけました。クリスタルのなかに自分の立体像をつくってくれるサービス。時間は写真撮影を含めて30分ほどで、日本円で4000円ほどだったと記憶しています。3台のデジタルカメラで1回だけ写真を撮影して3Dデータを作製。レーザーを使って立体像をクリスタルの内部に書き出しているようです。装置のサイズは、小さい冷蔵庫くらい。撮影後に店内をブラブラしていると、あっという間に手渡してくれます。

立体なので、観る角度によって表情が違って見える

 日本では、家族写真などの平面データをガラスなどに書き出すサービスを目にすることはありますが、その場で作る3Dは筆者は観たことがありません。スキャンもデジタルカメラで数秒で終わってしまうので、日本でやったら人気サービスになると思っているのですが…。

 像の背面(後頭部)はありません。普段は鏡で見ている反転した顔ではなく、本当の顔、それもいろんなアングルから観られるので、そんな意味でも面白いです。筆者はけっしてナルシストではありませんが……(笑)。

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