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最新パーツ性能チェック 第149回

3万円台GPUの新たな“王”「Radeon R9 280X」、その性能を見る

2013年10月08日 22時00分更新

文● 加藤 勝明

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 最後にAMD最適化済みのタイトルとして「Tomb Raider」を試してみる。画質は最も重い「Ultimate」に設定し、内蔵ベンチマークモードを使って計測した。解像度はBattlefield 3と同じ2通りに設定している。

Tomb Raider [Ultimate設定/1920×1080ドット] (単位:fps) better→

Tomb Raider [Ultimate設定/2560×1440ドット] (単位:fps) better→

 このテストではR9 280XとHD 7970GEの差が少し拡大しているが、基本的に両者は同レベルと考えて良さそうだ。3DMarkで大きなスコア差がつき、実ゲームでは大差がない理由はドライバー側の“最適化”が進んでいるせいと考えられる。

高負荷時の消費電力が減

 最後は消費電力を「Watts Up? PRO」で比較する。R9 280XとHD 7970GEの性能がほぼ同じであることはわかったので、逆に消費電力が少なければ、ワットパフォーマンスが向上したと判断できる。アイドル時および3DMark「Fire Strike」デモ終盤の格闘シーンにおける消費電力をそれぞれ計測してみた。

消費電力(単位:W) ←better

 アイドル時は大差ないが、高負荷時はHD 7970GEに対し27W減と、確かにワットパフォーマンスが大きく向上していることがわかった。ただ今回GeForce系がGTX 760しか準備できなかったため、これを見ると「GeForceに対しまだまだ……」という印象を与えてしまうテストになってしまった点は、この場を借りてお詫びしたい。

試せていない新要素へ
今後どう対応するかが見もの

 ここまで駆け足でR9 280Xの性能を検証してきたが、現状ではまだワットパフォーマンスの改善したHD 7970GEという評価しかできないGPUだ。高性能クーラー付きのオーバークロック版だと実売価格もそれほど安くないことを考えれば、今焦ってR9 280Xを買う必要はまったくない。

 ただAMDはゲームデベロッパーを自社開発のAPI「Mantle」で抱え込み、家庭用ゲーム機用タイトルをPCに移植しやすくすることでゲーム市場を支配しようという戦略を立てている。

AMDの現在の戦略を表現したもの。GCNアーキテクチャーにTrueAudio、そして4K対応とMantleによるゲームの最適化によって、より優れた体験をということだろうが、R9 280Xで今体験できるのは、実質的にはGCNのみというやや寂しい状態だ

 Mantle最適化済みゲームが出てくれば、単なるワットパフォーマンス改善版という評価から脱却できる日がくるのは確実だ。GeForceでも遊べるが、R9/R7系ならもっと低いグレードのGPUでも同等のパフォーマンスが得られるとなれば、“ゲームはRadeon”という評価は確実のものとなるはずだ。

 正直なところ、Radeonファンとしては既存のラインナップの刷新よりも、フラッグシップであるRadeon R9 290XがGeForce GTX TITANという“巨人”の進撃を見事止めるシーンが見たいのである。一日も速いR9 290Xのリリースと、Mantleの詳細の公開が求められるのだ。

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