AMDグラフィックスプロダクトマネージャーDevon Nekechuk氏インタビュー
AMDが最新ドライバーの利用を推奨、気になる新GPUは?
2013年02月14日 20時00分更新
AMDといえばx86互換CPUベンダーとして有名だが、GPUベンダーのATIテクノロジーズを2006年に買収した後は、NVIDIAとともにGPU業界をリードする存在となっている。AMDのRadeon HDシリーズは、NVIDIAのGeForceシリーズの強力なライバルであり、この2社の競争により、GPUの性能はCPUを上回るペースで向上してきた。
今回、AMDのデスクトップ向けグラフィックスプロダクトマネージャーを務めるDevon Nekechuk氏にインタビューする機会を得たので、AMDのGPUに関する最新情報や今後の展開について訊いてみた。
GCNは今後5年間使っていける
アーキテクチャーとして設計した
現在のAMDの主力製品が開発コードネーム「Southen Island」ことRadeon HD 7000シリーズである。Radeon HD 7000シリーズは、GCN(Graphics Core Next」と名付けられたアーキテクチャーを採用していることが特徴だ。Devon氏によれば、GCNはハイエンドGPUから、ノートPC向けやタブレット向けGPU、さらにはデータセンターなどで使われるハイエンドサーバー向けGPUまで、あらゆる製品の根幹であるという。
「GCNは今後5年間使っていけるアーキテクチャーとして開発しました。電力効率が高いことも特徴で、APUにとっても重要なアーキテクチャーであります。また、HSA(Heterogeneous System Architecture)の土台にもなります。私が一番エキサイティングだと思っているのは、ゲームのパフォーマンスが大変高くなるということです。Crysis 3やFar Cry 3のような負荷の高いゲームでも、非常に優れたゲーム体験ができます」(Devon氏)
ドライバーのリリースサイクルを
昨年半ばに変更
GPUにとって重要なのが、その性能をフルに発揮するためのドライバーである。従来、AMDは基本的に毎月1回、公式ドライバー「Catalyst」をリリースしてきたが、昨年半ばにその方針を変えた。以前は、必ずマイクロソフトのWQHL認証を取得してからドライバーをリリースしてきたが、その認証には6週間もかかってしまうのだ。
例えば、2012年1月15日にリリースされたCatalyst 12.1の場合、このバージョンに対して修正が可能な最終期日はその6週間前の2011年12月1日となる。そこから先に変更を加えると、認証が間に合わなくなってしまうのだ。次のドライバーであるCatalyst 12.2を2月15日に出すためには、1月1日の時点で変更ができなくなる。つまり、Catalyst 12.1を出した後で、特定のアプリなどで不具合が出ることがわかっても、次のCatalyst 12.2では対応できないのだ(12.1のリリース日よりも12.2の変更最終日が前になるため)。
そこで、昨年半ばにAMDはドライバーのリリース方針を変え、マイクロソフトのWQHL認証をとった正式ドライバーを公開すると同時に、そのドライバーに対する変更を開始することにした。例えば、Catalyst 12.10に対する修正版はCatalyst 12.11 Betaと名付けられ、マイクロソフトの認証をとらずに、AMDの公式サイトに公開するというポリシーに変更したのだ。これにより、マイクロソフトの認証に必要なタイムラグがなくなり、こまめにバグフィックスや改良が行なえるようになった。Catalyst 12.11 Betaの場合、実に15種類もBetaバージョンが存在したという。
「あるバグが報告されますと、その24時間後にはバグの状態を再現でき、そしてもう24時間後にはそのバグのフィックスができるという状態になりました」とDevon氏は語る。改善を重ねていき、問題がなくなり、パフォーマンスの最適化も完了したという状態になったときに、またマイクロソフトの認証を受けるというサイクルにしたのだ。これによって新しいゲームが出たときに、すぐにそのゲームに対してのパフォーマンスの最適化を図れるようになり、安定性も向上する。