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古田雄介の“顔の見えるインターネット” 第2回

深く追求するほど、知は広がっていく――『世界の植物』の喜び

2012年08月24日 12時00分更新

文● 古田雄介

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「メレ山さんと対極にあるのかもしれません」

「メレンゲが腐るほど恋したい」メレ山メレ子さん

―― 読者からの声みたいなものはあまり届きませんか?

高橋 たま~に、ですね。ただ、もともと対話を求めているのではなくて、自分で作るのが楽しいという質なので、それはそれでいいんですよ。そこはメレ山さん(関連記事)のブログとは対極にあるのかもしれません。昔から、自分や子供のために、写真と一緒に切符や入場券をアルバムに貼って整理していましたから。そういう凝り性なところもサイトを作る下地になっているのかなと思います。


―― そのスタンスだと、ブログやFacebookよりも、HTMLベースのサイトがぴったりですね。

高橋 ブログだったら、読者の人から「これいいですね」とかコメントをもらうと、やっぱり返信しないといけないでしょ? それもあまりに頻繁だと面倒くさいと思って(笑)。もともと『セネガル~』を始めた頃はブログという選択肢はなかったので、考えてもみなかったんですけどね。ただ、今でもメールアドレスは掲載していますし、連絡をもらえればもちろんお答えしますよ。たまにしか来ないですけど。

「植物によっては、和名が付いていなかったり、ヘンな名前だったりするので、自分で勝手に仮の名前を付けることがあるんです。そこでうまい名前が付けられたときも嬉しいですね」と語る


―― 収集欲と言いますか、データベース欲が旺盛なんですね。小石川植物園の園内をマッピングしている『小石川植物園の樹木』も、データベース欲が根底にあるんでしょうか?

高橋 根底にはありますが、こちらはある意味、義務感のほうが先に立っていますね。小石川植物園はアジアの植物を中心に集めているところで、木々には名札が付いています。園内を巡っているときに「この木は何?」と思ったらすぐ分かるので便利なのですが、入り口で「この木はどこにあります?」と聞いても、大ざっぱな範囲しか教えてもらえないんですよ。だったら自分で詳細なマップデータを作ろうと思ったんです。

小石川植物園の樹木

 2011年1月にスタートしたデータベースサイト。小石川植物園(東京大学大学院理学系研究科付属植物園・本園)の園内をくまなくマッピングしている。園内の樹木の位置と名前の由来を中心にまとめ、トピックスも充実している。スタートから1年間は開花情報も掲載していた。

http://www.geocities.jp/kbg_tree/

『小石川植物園の樹木』より。樹木のある位置がマップに示されているため探しやすい


―― ただ、四季の風景を紹介したりと、ガイドサイトとしても趣味性の高い作りになっていますね。

高橋 (目的の)第一は植物を網羅することなんですが、第二に、園内の雰囲気をミクロ・マクロに伝えたいという思いがあるんですよ。春と秋の風景をまとめた「KOISHIKAWA SNAP」や、「池めぐり」「お休み処」「雪景色」というトピックスを作ったのも、小石川植物園の魅力を伝えたいからですね。

春と秋の風景をまとめた「KOISHIKAWA SNAP」

冬の小石川植物園を撮りためた「雪景色」

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