安価なケーブルや光ファイバーケーブルが年内に登場
当初はMacBookの内蔵インターフェースとして登場したThunderboltも、今ではPCにも採用されるようになり、一部のノートやマザーボードに搭載されている(関連記事)。Macですでに採用されていたので、周辺機器ベンダーからも(数は少ないが)対応製品が登場している。
インテルが4日に開催したThunderboltの説明会では、レノボやASUSTeKのノートパソコン、MSIのディスプレー一体型パソコンなどのほか、マザーボード(ASUSTeK、Gigabyte)のホスト側機器や、周辺機器ベンダーのデバイスなどが展示されていた。
デバイス系はざっと見たところ、ストレージデバイスが多かった。高速な転送速度を生かして、複数ドライブを使う大容量ストレージ機器のインターフェースとして使おうとというわけだ。ただし、単純にストレージデバイスを接続するということになると、USB 3.0などの既存のインターフェースとの競合が気になるところ。仕様としては性格もスペックも違うが、「外付けHDDをつなぐ」というレベルでみれば、USB 3.0もThunderboltも、ユーザーにとっては似たようなものだ。
Macの世界では、最近までIEEE 1394(Fire Wire)がよく使われていたものの、Windowsの世界ではほとんど広がらず、スペック的に劣るUSBのほうに周辺機器ベンダーが集中する結果となった。その原因はいろいろと考えられるが、同じデバイスを接続するのに複数の仕様が並立することはあまりなく、結果的にどれかひとつに集約されていることが多い。集約が始まることで、関連する部品や半導体のコストが下がり、デバイスやケーブル、ハブといった関連機器製品のコストも下がっていく。こうして最初にコストダウンに成功したインターフェースが残るというのが、これまでの歴史である。技術的に優れているとか、転送速度が速いという部分だけでは、インターフェースの勝者は決まらないのが面白いところだ。
インテルによれば、2012年後半ぐらいから、安価なThunderboltケーブルが入手可能になるほか、光ファイバーを使った10メートル以上のロングケーブルも可能になるという(関連記事)。光ファイバーThunderboltケーブルはコネクター内に回路を持ち、電気信号を光に変換して伝送する。そのため、コネクターが少し大きなものになっている。
インテルはIntel 7シリーズチップセットをThunderboltに対応させるほか、単体のコントローラーも2世代目を用意している。2世代目のコントローラーは、ホスト、デバイス兼用の「DSL3510/3301」と、デバイス用の「DSL2210」がある。インテルチップセットに内蔵されることで、搭載マザーボードなどが今後は増えることが予想される。
お詫びと訂正:掲載当初、Thunderboltを内蔵と記載していましたが誤りでした。ここに訂正するとともに、お詫びいたします。(2012年6月7日)
チップセットの対応により、ホスト側への普及は期待できるが、問題は接続されるデバイス側であろう。ここは多数の周辺機器ベンダーの参加が必須であり、エコシステムを構築する必要がある。つまりは対応デバイスを、簡単かつ安価に作ることができるかが、ポイントといえる。
USBの場合、組み込み向けのプロセッサーにもUSBインターフェースが内蔵されたものがあり、デバイス開発はそれほど難しくない。簡単なUSBデバイスは、組み込み用プロセッサーひとつで作れるわけだ。また、大量に出荷されることがわかっているなら、プロセッサーを内蔵するような専用デバイスを作ることも難しくない。
だが現時点では、PCI ExpressやThunderboltは、組み込み系のプロセッサーで簡単に扱える状況にはない。そのためThunderboltコントローラーやPCI Expressのインターフェースチップ、さらに組み込みマイクロプロセッサーなどを複数組み合わせることになり、どうしても部品コストが上がってしまう。こうなると、インテルやアップルがどうこうするよりも、周辺機器ベンダー次第の部分がある。
デバイスを作る周辺機器ベンダーがいれば、そこに参入する半導体ベンダーもあるというエコシステムができあがる。こうしたエコシステムの構築がThunerboltにはこれから必要になってくるだろう。その一端が今回のCOMPUTEXで見えたわけだが、今後どこまで広がるかはまだわからない。
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