COMPUTEX TAIPEIでは、インテルとマイクロソフトが毎年講演を行なっている。6日に行なわれたマイクロソフトによる講演のテーマは、当然ながらWindows 8。多くのPCハードウェア関連企業のある台湾での講演らしく、パートナー企業との関係を重視した内容であった。ライターの塩田紳二氏によるレポートをお届けしよう。
講演を行ったのは、マイクロソフト OEM事業部担当副社長のスティーブン・グッゲンハイマー(Steven Guggenheimer)氏。マイクロソフトの「OEM」とは、Windowsを購入するPCハードウェアメーカーのことだ。台湾には多数のPCメーカーがあるが、それらの企業との窓口になるのが、同氏の事業部なのである。
製品候補版が登場したWindows 8
完成まであと2ヵ月?
去る6月1日に、Windows 8のリリースプレビュー版が公開された。これは従来なら「RC」(Release Candidate)版、つまり製品候補版と呼ばれていたものに当たる最終仕様のバージョンで、最終的な機能や動作の確認をするためのものである。「プレビュー」版になったのはおそらくマーケティング的な理由で、簡単に言えば、配布してユーザーの目に触れる機会を多くするためだ。
Release Previewが出たあとは、マイクロソフトは一定期間、重要顧客などからのフィードバックを受け付けたあと、開発の最終段階に入る。数ヵ月後には、製品版に相当する「RTM」(Release To Manufacturing)版が登場するが、場合によってはその前に、もう一回RC版が登場する可能性がある。RC版は最終的な確認をするものであるため、最初のRC版(今回ならRelease Preview)で大きな問題があった場合に、それを修正して再度確認するためだ。ただし、この場合は一般公開ではなく、MSDNやTechNetに加入している開発者・テストユーザー向けのみといった、限定された公開になる可能性がある。
Windows 7の場合、最初のRC版が出てから3ヵ月弱、2つ目のRC版から1ヵ月ぐらいでRTMとなった。このスケジュールをWindows 8にも当てはめてみると、計画が順調でRC版が1回のみであれば、8月ぐらいにはRTMになりそうだ。
Windows 7とWindows 8のリリーススケジュールの比較(水色部は予想) | |||
---|---|---|---|
イベント | Windows 7 | Windows 8 | 注釈 |
開発者プレビュー | 2008年10月26日 | 2011年9月12日 | イベントの時期に左右される |
β版 | 2009年1月9日 | 2012年2月29日 | パブリックプレビューなので準備期間が必要 |
RC版 | 2009年4月30日 | 2012年6月1日 | Windows 7と1ヵ月の差 |
出荷日告知 | 2009年7月7日 | 2012年7月後半? | 最後のRCが出たあと |
RTM | 2009年7月22日 | 2012年8月前半? | 2回目のRCの有無で変わる |
出荷 | 2009年10月22日 | 2012年11月? | RTMの3ヵ月後 |
最初のRCからRTMが登場するまでの間に、正式な出荷日のアナウンスがある。Windows 7のときには、これが7月だった。マイクロソフトの会計年度は6月に終わるため、大きな発表は6月には行なわれない。おそらく7月中には、なんらかのアナウンスがあるのではないかと考えられる。
そういう事情もあり、今回のCOMPUTEXでマイクロソフトは、大きな発表を行なうことができない状態だった。組み込み向けWindowsである「Windows Embedded Standard 8」のCTP第2版(Community Technology Preview)を公開したという情報もあったが、第1版はリリース済みなので、やはり大きな発表にはなりにくい。
しかしWindows 8が最終段階に入ったことで、今回のCOMPUTEXでは多くのメーカーが、Windows 8を搭載する新製品を発表した。ハードメーカーもWindows 8対応の最終段階となり、米国の年末商戦などにむけて新製品の投入準備を始めたわけだ。
この連載の記事
-
第24回
ビデオカード
ASUSTeK、「GTX 680」2基のハイエンド「MARS III」を展示 -
第23回
ケース
InWinの11枚アルミパネルのファンレスPCケース、発売予定もアリ? -
第22回
PC
離陸の兆しが見えるWindows RT、姿の見えないスマートテレビ -
第21回
PCパーツ
OCZ、ランダムアクセス63万IOPSのPCI-E型SSDなどを展示 -
第20回
ビデオカード
これを発売するのかっ! GeForce GTX 680のファンレスモデルを発見 -
第18回
PCパーツ
ZALMANブースで発見した近日発売予定の新型クーラー2機種をチェック -
第17回
PC
大量写真で見る、COMPUTEXで見た日本未発表のUltrabook -
第16回
ケース
3.5インチHDDを20台搭載可能なPCケースもあったLian Liブース -
第15回
ケース
Antec、「P280」のカラバリモデルを展示 -
第14回
PCパーツ
シリアル入り深紅ケース採用の限定版SSD「NINJA」を予告したPLEXTOR - この連載の一覧へ