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International CES 2012特集 第11回

CES2012で見た 2012年のレノボはこの製品が面白い!

2012年01月14日 15時54分更新

文● 西田宗千佳

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専用モジュールでインスタントモード搭載
ThinkPad X1 Hybrid

「ThinkPad X1 Hybrid」。デザインはまったく同じなのだが、内部には「2つのOS」がある。同社がここ数年追求してきたデュアルOS環境の完成形といえそうだ

 外観の変わらぬ製品の2つ目が「ThinkPad X1 Hybrid」だ。

ベック「見た目はX1と同じですが、内部にmini PCIカードに実装されたARMコアのCPUと16GBのストレージがあります。これにはLinuxベースのカスタムOS『Instant Media Mode』(IMM)が搭載されていて、ワンクリックで切り替えて使えます」

 IMMからはWindows 7側ストレージにアクセスできないなど(逆は可能)、仕様上の制限はいくつかある。ではなぜ、わざわざそのような構造にしたのだろうか?

ベック「理由はバッテリーです。X1はThinkPadとしては薄く設計しました。またCPUも通常電圧版の、最高スペックを選択できます。しかし一方で、バッテリー駆動時間が約5時間と短くなってしまったのです。そこで2種類のOSを搭載して、音楽や映像を楽しむ時にはIMMを使うようにすると、バッテリー駆動時間を10時間まで延長することに成功しました。IMMからも、キーボードなどの操作系や音量調節などはすべてできますが、PC側のファイルにはアクセスできません。これはセキュリティーポリシーによるものです」

WindowsモードからもIMMへ切り替えができる。切り替え作業からの移行時間は数秒以内で、ほとんど待たされることはない

「Instant Media Mode」(IMM)。同社のタブレット「楽Pad」などでも採用されているUIに似ている。ウェブ閲覧のほか、音楽や映像の鑑賞を想定した機能であるという

 レノボの新製品ではAndroid搭載タブレットも目立つ。特にモバイルユーザーに気になるのは、分離構造を採用した「IdeaTab S2-10」(S2110)だろう。

「IdeaTab S2-10」。一見普通のタブレットに見える。サイズ的にもデザイン的にもなかなか魅力的。だが、本質はキーボードドックとのセットにある

ベック「IdeaTab S2-10は、タブレットとしてもキーボード搭載機としても使える製品です。10インチ・1280×800ドットのディスプレーを使用し、重さは約580g、厚さは約8.67mmです。これでも10時間動作するのですが、それだけでは終わりませんよ」

 そこで取り出されたのがキーボードドックだ。本体を上から差し込むような構造になっていて、組み合わせて使える。

S2-10のキーボードドック。バッテリー内蔵で、組み合わせると20時間の動作が可能になる。スリットへ差し込んでドッキングする構造だ

ドッキング後には、ほぼノートパソコンのような構造に。モバイル向けとしてはやはり魅力を感じる人が多いのではないだろうか

ベック「キーボードドックに差し込めば、さらに10時間分のバッテリーが使えます。両方で20時間になりますが、仮にタブレットの方が切れてしまっていても、キーボード側のバッテリーで動かせます」

42・55インチのスマートTVも投入!
(ただし中国市場向け)

レノボがスマートTV事業に参入。「K81」「K91」の2モデルがあり、前者は42インチ、写真の後者が55インチ

 最後に紹介するのが、レノボの「スマートTV」だ。サイズの違いによって「SmartTV K81」と「SmartTV K91」があり、それぞれ42インチと55インチになっている。

 OSにはAndroidを採用していて、テレビ放送やビデオオンデマンドを見られるはもちろん、Androidのアプリやウェブブラウザーも使える。OSは「Android 4.0」(IceCream Sandwich)だが、テレビ向けにUIがカスタマイズされているので、印象は異なる。

 IdeaTabとスマートTVについては、主に中国市場をターゲットとしたもので、それ以外の国や地域に対する投入予定はまだ未定だという。それぞれユニークな製品性を持っているものだけに、日本や欧米でも一定のニーズがあるのでは、と感じる製品だった。

■関連サイト

筆者紹介─西田 宗千佳

1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「iPad vs.キンドル」(エンターブレイン)、「メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電」(朝日新聞出版)、「知らないとヤバイ! クラウドとプラットフォームでいま何が起きているのか?」(共著、徳間書店)。「電子書籍革命の真実 未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「災害時ケータイ&ネット活用BOOK」(共著、朝日新聞出版)、「形なきモノを売る時代 タブレット・スマートフォンが変える勝ち組、負け組」(エンターブレイン)。最新刊は「リアルタイムレポート デジタル教科書のゆくえ」(TAC出版)。

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