エンコーダーに対する最適化の差は、別の動画変換ソフトでも確認できた。「Free Video Converter V2.6.0.0」を使ってmp4ビデオのトランスコードを行なったところ、速いはずのSPEED時に63fpsだったのに対し、遅いはずのSTAMINA時では66fpsの変換が可能だった。
ただし、SPEED(Radeon HD 6470M)が遅いのはトランスコード時に限ったことで、3Dグラフィックスを使うアプリケーション「MikuMikuDance_v739」では、STAMINA時の25fpsに対し、SPEED時では倍以上の55fpsで描画している。また、普通に使っていて、画面切り替わり時などの微妙な待ち時間にストレスを感じないのも、SPEED時の方であった。
スペックを総合的に見ると、VAIO SEはユーザーターゲットが明確ではないように思えた。大画面+モバイルのニーズはあると思うが、店頭販売モデルはその層にマッチしているだろうか? アピールポイントが「スタイリッシュ」であれば、もう少し低速だが低発熱・低消費電力のCPUに振って軽くするとか、高性能をうたうのであれば、デュアルチャンネルのメモリー構成やSSDの選択もあっただろう。
キーの感触や周囲の手触りは良好
使用感についても述べておこう。キーボードはVAIO SA/SBと同等のアイソレーションタイプで、キーピッチ約19mm、キーストローク約1.7mmと細かい仕様も同じだ。大画面ノートのスペースメリットを活かして右側にテンキーが追加され、数値入力を多用するニーズにも適応できる。
キーボードベゼルと一体化したマグネシウム合金フレームのしっかりした硬い感触や、ツヤ消し処理がなされたパームレストの質感もよく、使用感は良好である。マウスボタンの硬さはやや気になるが、タッチパッドの感度もよい。問題があるとすれば、パームレストに手を置いたときの皮脂汚れが目立つことだろうか。汚したくないが触れたいという二律背反に悩みそうだ。
VAIO SA/SB同様に、白色LEDをキーボード内部に内蔵したキーボードライトも備える。本体がツヤ消しブラックということもあって、暗くなるとキーボードやパームレストが見えにくいのだが、ライトをつければ透過性のある素材の刻印文字だけが浮かび上がる。ななめ横方向への光線漏れは目に入ると気になるが、周囲を淡く照らすため暗がりでもキーポジションがつかみやすい。欲を言うならタッチパッド周辺の照明も欲しいところだ。
VAIO SA/SBシリーズとの違いのひとつに、SEシリーズではパームレストやキーボードがそれほど熱くならないと感じた。試用時期の違い(夏季と秋季)もあるのだろうが、空冷の排気も騒音のわりには暖かく感じない。ファンの回転が冷却重視に調節されているのかもしれない。
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