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週刊 PC&周辺機器レビュー 第119回

15.5型になったVAIO Sはエンタメよりビジネス向き?

2011年10月14日 12時00分更新

文● 池田圭一

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 コネクター配置の問題は、モバイル機をそのまま大きくしただけのデザインに問題があるのだろう。本体後部中央に設けられた空冷ファンの排気スロットの位置も同様で、ディスプレーを閉じているときには、かろうじて見えている排気スロットも、VAIO SEを使おうとしてディスプレーを開くと、ヒンジ部分に覆われてしまうのだ。

ディスプレーを閉じた状態であれば排気は後部に出てくるが、ディスプレーを開けるとふさがれてしまう。空気の流れが悪いためか風切り音が意外に大きい

 そのため放熱効率が悪いのか、少しCPUに負荷をかけると空冷ファンが高速回転して、静かな部屋では風切り音が響きわたる。VAIO SA/SBでは、内部構成のサイズ的な制限で仕方ないことと思えたが、せっかく大画面ディスプレーを搭載して面積的に余裕が出たはずのVAIO SEならば、ぜひとも改善して欲しかった点だけに残念だ。

CTOならスペック自在
店頭モデルはややアンバランスか

 VAIOの定石どおり、VAIO SEもVAIOオーナーメードモデルや法人向けモデルでは、CPUやメモリー、HDDに光学ドライブなどで、幅広い選択肢の中から好みの構成を選べる。今回は試用した店頭販売モデルであるVPCSE19FJ/Bで話を進めよう。なお、店頭販売モデルの実売価格は14万円前後。最近の15.5型ノートとしては、やや高額といえる。

 VPCSE19FJ/BのCPUは、Core i5-2430M(2.40GHz)である。これはi5-2410Mの後継として今秋に登場したもので、秋冬モデルのノートでは一般的なCPUだ。メモリーは4GBで最大8GBまでの拡張が可能。ストレージには容量750GBのHDDを内蔵する。GPUはCPU内蔵のHD Graphics 3000に加えて、独立GPUのRadeon HD 6470Mを搭載。本体キーボード左上にある「STAMINA/SPEED」スイッチで切り替えられる。

バッテリー重視のSTAMINAモードと性能優先のSPEEDモード切換スイッチ。その右は環境光のセンサーだ

 Windowsエクスペリエンスインデックスは、STAMINAでは「4.7」、SPEEDでは「5.3」であった(いずれも最低値はグラフィックス)。メモリーはそこそこの作業に十分な4GBを搭載するものの、デュアルチャンネルが効いていない分だけやや損をしている、また内蔵HDDも5400rpmと遅めだ。本機ではHDD容量を食うテレビ録画機能はないので、低速な5400rpm HDDではなく、容量は少なくても多少は速い7200rpm HDDを搭載してほしいものだ。

STAMINAモード時のエクスペリエンスインデックス。Core i5で7.0スコアはなかなか秀逸。2410Mと比べて+100MHzの効果か

SPEEDモード時のエクスペリエンスインデックス。グラフィックススコアが0.6向上しただけだが、Radeon HD 6470Mの効果は数値以上に大きい

 「PCMark 7」でのベンチマークテスト結果は以下のようになった。不思議なことに、総合性能が低いはずのSTAMINA時の総合スコアが「2066」、グラフィックが速いはずのSPEED時が「1828」と逆転してしまっている。特に「Creativity」と「Computation」での逆転傾向が顕著だ。この原因は、CreativityとComputationのスコア算出に動画トランスコード処理を含むからと推測される。PCMark 7はSandy Bridgeや、Sandy Bridge内蔵GPUによるエンコード処理への最適化が進んでいるため、GPUとしてはローエンドのRadeon HD 6470Mよりも、効果があるのではないかと思われる。

PCMark 7 Professionalのスコア
PCMark Lightweight Productivity Creativity
STAMINA 2066 1790 1190 4057
SPEED 1828 1844 1231 2413
Entertainment Computation System storage
STAMINA 2079 8358 1530
SPEED 1954 2650 1541

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